心理学に限らず、なんらかの「学び」は、自分自身の体験を通じることで、はじめて形になっていきます。
そして、それを分け与えようとするとき、その体験は光り輝くのです。
1.「見捨ててしまった」という罪悪感
昨日の記事では、「見捨てられた」という怒りをテーマにして、私の体験からお伝えいたしました。
「見捨てられた」という怒りに気づくとき ~大嵜直人の場合 - 大嵜直人のブログ
「見捨ててしまった」という罪悪感があります。
何とかできたかもしれないのに、それができなかった。
それで、自分の大切な人が大変な思いをしたり、苦しい思いをしたりすることになってしまった。
だから、自分を罰そうとしますし、自分を幸せから遠ざけようとするようになります。
こうした「見捨ててしまった」という罪悪感ですが、その罪悪感の裏側には、「(自分が)見捨てられた」という怒りが眠っていることがあります。
これ、なかなか気づきにくいのですが、言われてみると、結構なるほどな、という視点ですよね。
自分が「見捨てられた」と感じる経験をして、それに対してものすごく怒りを覚えたとします。
すると、その経験を、周りの世界に映し出すわけです。
はい、「投影」とよばれる心理です。
すると、自分が「見捨ててしまった」という立場になったときに、「あの人は、絶対に私に対して『見捨てやがって』と怒っているにちがいない」と感じるようになります。
それが、「見捨ててしまった」という罪悪感を強めるわけです。
しかし、この罪悪感を感じるときには、その大元になった「見捨てられた」という怒りは、心の奥底に押し込められてしまったりするものです。
だから、反対から見れば、この「見捨てられた」という怒りや悲しみを癒していくことが、「見捨ててしまった」という罪悪感を癒していくことにもなります。
昨日の記事では、私自身がこの「見捨てられた」という怒りに気づいたプロセスを、少しご紹介させていただきました。
2.学びは、自分自身の体験を経てこそ
少し、私の個人的な体験を書きすぎたかな、とも思いますが、それでも読まれる方の何かのご参考になれば、幸いです。
しかし、あくまで「参考」にはなるかもしれませんが、それだけで肚落ちして、自分の血肉にすることは、難しいように思います。
こう書いてしまうと、見も蓋もないような気がしますが笑
とはいえ、心理学の学びは、どれも同じことがいえます。
知識としてそれを得ることは、ある意味で半分というか、登山するための準備を整えただけです。
それを使って、自分自身の体験を通じて学んでいくと、それはほんとうに黄金のごとく貴重なものになっていきます。
すべての「学び」とは、そうなのかもしれませんね。
たとえば、メジャーリーガーのバッティング理論を学んだとして、それだけで大活躍できるかといえば、そうではないのでしょう。
自分自身の身体と実践を通じて、その理論を検証し、取り入れていくというプロセスが、必要になるものだと思います。
たとえば、禅の公案を、その文字面だけを聞いただけで、悟りが開けるかといえば、そうではありません。
師から与えられた問いかけに、自分が考え抜いて出した答えでなければ、意味がありません。
そのなかで先人たちの公案が、ヒントになることは、もちろんあるのでしょう。
「学び」とは、ある種のヒントであり、それを自分の体験と結び付けて「財産」にするのは、自分自身にしかできません。
これは、カウンセリングでもそうで、カウンセラーは何らかの答えをもっているわけではありません。
クライアントさまが答えをもっていて、それを見つける手助けをさせていただく。
クライアントさまが、自分自身を癒す力を持っていて、それを思い出すための手助けをさせていただく。
もちろん、いろんなカウンセリングがありますが、少なくとも私は、そのようなカウンセリングをご提供させていただきたいと思っております。
3.あなたの体験が、輝くとき
そんな風に考えていくと、どんな学びであれ、それ自体に価値があるというよりも、自分自身の体験を経ることで、それが光り輝くように感じます。
借りてきたような他人の言葉が、どこか響かないのは、そのためかもしれません。
自分自身の体験、それを通じた自分の言葉。
それにこそ熱量は乗り、誰かの心に響くのです。
どんな体験も、あなた自身の大切な体験です。
たとえそれが、冒頭にあげたような、「見捨ててしまった」という罪悪感であれ、「見捨てられた」という怒りであれ。
あるいは癒着だったり、苦しい体験だったかもしれません。
しかし、そこから学びを得ると、あなたの体験の意味付けが変わります。
その体験から得た学びを、誰かに分け与えることもできるのでしょう。
そのとき、あなたの体験は光り輝くのです。
もちろん、それを与えたからすべてではなくて、その相手もまた、自分自身の体験を通じて、血肉にしていくほかないのは、同じなのですけれどね。
でも、どのような形であれ、その相手に与えることで、あなたの体験はあなただけのものではなくなります。
あなたの体験は、あなた自身が大切にしてあげてくださいね。
あなたの体験は、あなただけのものであり、それでいて、あなたの周りの大切な人のためのものでもあるのですから。
今日は、あなたの体験が輝くとき、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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