傷ついた経験から、私たちは仮面をつけて、本来の自分から離れて生きるようになります。
しかし、「傷つく」というのは、そもそも自分のなかに愛があるからではないでしょうか。
1.どの自分とも、ともに生きる
先日の記事では、自分を「統合」する、というテーマでお伝えしました。
どんな自分も自分の一部だから、否定するのではなくて「ともに生きる」。 - 大嵜直人のブログ
カウンセリングでも、話題になることの多いテーマです。
自分との分離、仮面をつけてしまう自分、そして、自分との仲直り。
いろんなテーマがありますが、ずっとお伝えしているのは、
「どの自分が正しい、というわけでもなく、どの自分も大切な自分の一部」
ということでしょうか。
たとえば、本来はマイペースで、自分の世界を持っている人が、自分よりも周りを優先して、合わせるような仮面をつけてしまったとします。
そうすると、自分のなかで分離が起こって、どんどんしんどくなってくるんですよね。
本来の自分は「もっとゆっくりしたいよ」とゴネだしたり、仮面をつけている時間は息が詰まるようで苦しく感じたり。
それを無視したりしていると、身体に影響が出てしまったりすることすら、あります。
そうしたときに、単純に「本来の自分に戻りましょう」と考えるのではなく、その二つの自分を「統合」していくことが、大切なことです。
だって、仮面をつけているかもしれませんが、その自分だって、自分の大切な一部のはずです。
その自分の一部を否定してしまったら、その自分が拗ねちゃいますよね。
「どうせ、わたしなんて、いらないんだ…」みたいに笑
自分自身がそんな風に感じてしまうと、「本来の自分、スバラシイ!万歳!」とは、なかなかできないですよね。
仮面をつけていたとしても、それも大切な自分の一部なのですから。
それを受け入れるためには、仮面をつけていたことで、得られたもの、その価値や魅力をフォーカスすることが重要です。
その価値を見た上で、仮面をつけたり、はずしたりできるようになると、いいですよね。
それが、自分を「統合」する、イメージです。
2.仮面をつけてしまうのは、傷ついた経験から
さて、今日はこのテーマのなかの「仮面をつけた自分」を、もう少し掘り下げてみたいと思います。
私たちは、生まれてから成長していくなかで、どこかで自分を隠したり、抑圧したりしてしまうことが多いものです。
親や家族の影響だったり、他人との関係性のなかで傷ついたりした経験から、
「この自分ではいけない」
という想いに至ります。
これが、仮面をつけるようになるプロセスです。
マイペースで、自分の世界を持っている人が、親から「そんなボンヤリしてたらダメでしょ!ちゃんと皆とあわせなさい!」と怒られていた。
自分が盛り上げる役をしていたら、「あいつ、目立ちすぎ」と批判されたりした。
恋人に無邪気に頼って甘えてばかりいたら、「もっとしっかりした人がよかった」と嫌われてしまった。
人それぞれに、そうした経験があるのでしょう。
そうしたなかで、周りに合わせて生きる仮面、目立たないように生きる仮面、誰にも頼らない仮面を、つけるようになっていきます。
そう考えていくと、仮面をつける自分というのは、なんとも切ないような感じもしますし、それが単に悪いこと、直さないといけないこととは、言えないものです。
「あなたは、仮の自分!本来の自分じゃないの!」
って言われるのを想像したら、なんかちょっとやるせないというか、悲しいですよね。
だからというわけではないのですが、仮面をつけた自分を否定するのではなくて、それを受け入れ、その自分が持っている価値や、そのおかげで得られたものにフォーカスしたいものです。
3.「傷つく」のは、自分のなかに愛があるから
それにしても、「傷つく」というのは、実に人間らしい情動だと思うのです。
端的に言えば、そこに愛があるから、傷つくわけです。
先ほどのたとえで言っても、
親を笑顔にしたかった。
周りの友達と仲良くなりたかった。
パートナーを、もっと愛したかった。
その想いがあるからこそ、傷つくんですよね。
もちろん、それは単に、自分を守るためとか、保身のためという見方もできるかもしれません。
単に、「愛されなかった」「満たされなかった」という見方も、できるかもしれません。
けれども、それはそれとしても。
傷つくのは、自分のなかに愛があったから。
そして、その愛を届けられなかったから。届かなかったから。
そう見ることはできるのではないでしょうか。
それがなければ、別に何を言われても何とも思わないでしょうし、受け入れられなくても、気にもしないかもしれません。
傷つくのは、自分のなかに愛があるから。
私たちが傷ついたとしたら、それは自分のなかに愛があることの証明ともいえます。
その過程、経験のなかで、私たちは仮面をつけて生きることを選んだりします。
そう考えると。
誰が、その仮面をつけた自分を、責めることができるのでしょう。
「よく、そこまで苦しくても、愛してきましたよね」
そんな言葉を、かけたくなりませんか。
仮面をつけた自分は、悪いものでも、なんでもありません。
ただ、それはあなたが、誰かを深く愛してきた証なのだと思うのです。
今日は、「傷つく」のは、あなたに愛があるから、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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