大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「統合」とは、怒って拗ねている小さな自分との仲直り。

本来の自分と、仮面をつけてしまった自分。

そうした自分を「統合」していくプロセスを、お伝えします。

1.人生をかけた「どうしたら愛されるか」研究

こここのところ、本来の自分と仮面をつけた自分、というテーマを続けておりました。

私たちは、生まれてから成長していく中で、本来の自分を隠してしまったり、抑圧してしまうようになります。

本来の自分では、生きられない。

そこでつけるようになる仮面のことを、「ペルソナ」と呼んだりもします。

しかし、「その仮面は悪いもの、本来の自分が素晴らしいもの」という単純な二元論ではないものです。

なぜなら、仮面をつけた自分もまた、大切な自分の一部なのですから。

仮面をつけていることで、得られたものや、周りに与えられたものも、たくさんあるはずなんですよね。

だから、まずはその価値をしっかりと見る必要があります。

ただ、ずっと仮面をつけているのも、息苦しくてしんどいので、本来の自分と「統合」していくのが理想であるとも、お伝えしてきました。

見方を変えれば、この仮面の自分というのは、私たちの「どうしたら愛されるか」という研究の賜物でもあります。

誰しも、嫌われたくないですし、愛されたいという、根源的な欲求があります。

「どうしたら、嫌われずに、愛されるだろう?」という研究を、私たちは人生をかけてしてきているのかもしれません。

ただ、悲しいかな、その研究のベースになるのは、私たちの数少ない経験なんですよね。

多くの場合、それは親との関係です。

言ってみれば、1つか2つしかないサンプルから、その研究をしているわけです。

もちろん、それだけ影響力が強いからというのもあるのですが、サンプル数としては少なすぎる研究ですよね。

「いままで、こうじゃないと愛されないと思っていたけれど、案外、そうでもないかもしれない」

そう思えるようになることが、癒されるということでもありまし、自分を「統合」するというプロセスでもあります。

2.小さな自分は、拗ねている

人生をかけた、「どうしたら愛されるか研究」。

その研究のベースになっているのが、ここで何度も扱っていますが、傷ついた経験やできごとです。

「本来の自分でいては、いけない」

「素の自分は、愛されない」

そんな痛い経験が、仮面をつけさせます。

いわば、自分との分離がはじまるわけですよね。

そうしないと、生きていけないから。

その仮面をつけていると、見かけ上は、うまくいくんです。

それは、そうですよね。

求められる形に、自分を変えるわけですから。

でも、その仮面もまた、苦しくなります。

人生のなかで出くわす「問題」は、それを教えてくれます。

パートナーシップ、子育ての問題、仕事や経済的な問題、愛する人との別離や孤独…そうした「問題」が問いかけてくるのは、

「いまのままで、いいの?」

「ほんとのあなたは、どんな人なの?」

という問いです。

私たちはそのプロセスの中で、いつしか置き去りにしてしまった小さな自分に、もう一度、会いに行くんです。

自分と向き合ったり、カウンセリングを受けたりする中で、そうしたプロセスを経験される方は、多いのではないでしょうか。

私も、そんな経験があります。

ただ、この小さな自分、めっちゃ拗ねてるんですよね。

「このやろー、いまさらなんだよ!」みたいに、怒っているというか。

でも、考えてみれば、当たり前ですよね。

その小さな自分からしたら、いきなり

「あなたはそのままでいてはダメ」

「表に出てはダメなの」

とばかりに、暗い部屋に押し込められて。

そのままずーっと放っておかれて。

それが、いきなり「あなたが大切なの」と来られても、文句の一つも言いたくなるのは、当たり前ですよね。

私なら、めっちゃ怒ると思います笑

3.「統合」とは、自分との仲直り

小さな拗ねている自分。

怒っている自分。

自分と向き合う中で、そんな自分に出会うことがあります。

そうした自分と、仲直りすること。

それが、自分との「統合」のプロセスといえます。

最初は、めっちゃ警戒されるかもしれません。

呪詛の言葉を、吐かれるかもしれません。

恨みつらみも、出てくるかもしれません。

でも、それは永遠には続きません。

必ず最後には、仲直りできます。

その拗ねている小さな自分に、どう向き合っていくか。

それは、その人のパーソナリティが強く現れます。

ずっと、根気強くその話を聞く人。

辛かったよね、と抱きしめてあげる人。

視線をそらさずに、ずっと見つめる人。

それは、その人なりの愛し方とも言えます。

どんな愛し方でも、大丈夫です。

時間がかかっても、その小さな自分と、仲直りできます。

だから、もしあなたが自分と向き合うプロセスの中で、そんな拗ねている小さな自分に出会ったら。

どうか驚かずに、その自分の話に、耳を傾けてみてください。

「統合」は、そこからはじまります。

今日は、「統合」とは、怒って拗ねている小さな自分との仲直り、というテーマでお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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