大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

燃え尽きたとしても、心は何度でもよみがえる。

「燃え尽き」の状態になると、もう何もかもが終わったように感じるものです。

しかし、終わりとはじまりは同じ場所にあるようです。

燃え尽きたとしても、何度でも心はよみがえります。

1.燃え尽きるのは、それだけ情熱があるから

先日の記事では、燃え尽きたように感じるのは、それだけの情熱があるから、というテーマでお伝えしました。

燃え尽きたように感じるのは、あなたにそれだけの情熱があるから。 - 大嵜直人のブログ

感情とは、浮かんでは消えていく、空の雲のようなものです。

ただ浮かび、ただ移ろい、ただ消えてゆく。

それをコントロールしようとするのは、どだい無理なことであり、言ってみれば野暮なことといえるのでしょう。

「依存」の状態にいるとき、私たちは感情を「感じる側」にいます。

たとえば、恋愛でいうならば、惚れた側。

あるいは、師弟の関係でいうならば、教えられる側。

こちら側は、自分の感情を大いに感じ、また時には、それに揺さぶられたりします。

惚れた側からすると、相手の一挙手一投足に、自分の感情をもっていかれたりしますよね。

しかし、これは自分に主体性がない状態でもあり、それはしんどいものです。

だから私たちは、この「依存」の状態から、なんでも自分でしようとする「自立」へと向かいます。

それは、自分自身でできることを増やす成長でもあるのですが、その過程で私たちは感情を抑圧するようになります。

ときには、「怒り」を使って、感情を抑え込んだりもします。

だって、感情に振り回されたら、またあの辛い「依存」の状態に、戻ってしまうから。

そうして感情を抑圧することを繰り返していくと、果ては無気力、無感動な状態になってしまいます。

この状態になると、いつも疲弊しているように感じて、灰色の世界のなかで、ただやるべきことだけが並んでいる…そんな風に見えたりもします。

よく「燃え尽き症候群」と呼ばれるような状態です。

自分に対して厳しい人ほど、この状態になると、無気力で動けない自分を責めてしまうことがありますが、実際にはその逆なんですよね。

燃え尽きるのは、それだけ感情があるからであり、誰かを大切にしたいという情熱があるからです。

先日の記事では、そんな見方をご紹介しました。

2.成功しているように見えたとしても

この燃え尽きた状態というのは、傍から見てもなかなか分かりづらいものです。

社会的に成功していたり、経済的な豊かさがあったり、あるいは、たくさんの家族や友人に囲まれていたり、していたとしても。

本人の心のなかでは、荒涼とした世界が広がっていたりします。

「こんなことをしても、何になるのだろう」

「何をしていても、虚しい」

「私は何を失敗したのだろう」

そんな想いが、頭から離れなかったりします。

この「燃え尽き」の状態まで来れる人が、その想いを吐露することは、まずありません。

「そうはいっても、周りに心配かけてはいけない」

「こんなことを言ったら、周りは困惑するだろうし」

自分が燃え尽きようとも、周りの人のことを想えるほど、やさしい人が多いものです。

だから、はた目には、充実した生活を送っているように見えることすらあります。

本人の胸のなかでは、虚無の風が、吹きすさんでいるのに。

その風が身を切るのを、ただじっと耐えている。

そして、ただやるべきことだけが、次々と機械的に流れてくる。

「自分がそうしたい」というよりも、「そうすべきだから」という理由で、動いているだけです。

自分が楽しむのも、他人に優しくするのも、何かを与えるのも、もっといえば、愛するのも。

ただ、そうするべきだから、している。

「燃え尽き」とは、そんな状態といえるのかもしれません。

3.何度でも、心はよみがえる

「燃え尽き」とは、その語が象徴する通り、ものごとの一つの「終わり」といえます。

キャンプファイヤーにしても、たき火にしても。

それが終わるとき、燃え尽きた灰が残るわけですから。

しかし、何かの「終わり」は、新しい何かの「はじまり」でもあります。

心の世界でいえば、「自立」という時代が終わり、「相互依存」の世界がはじまる合図といえるのでしょう。

人を頼る、任せる、委ねるといったことから、自分の弱さを受け入れることもカギになってきます。

死と再生。

その境界線にいるのが、「燃え尽き」の状態です。

私の好きな漫画に手塚治虫先生の「火の鳥」があります。

そこに出てくる火の鳥もまた、燃え尽きた灰のなかから、何度でも新しく生まれ変わります。

何かの終わりは、何かのはじまり。

そうだとするならば、「燃え尽き」とは、新しい自分と出逢うことのできることなのかもしれません。

 

人の心は、私たちが思っているよりも、ずっとしなやかで、強いものです。

何度でも、心はよみがえります。

もし、あなたが燃え尽きたように感じているのでしたら。

そのことだけは、信じていただきたいな、と思うのです。

今日は、燃え尽きたとしても、心は何度でもよみがえる、というテーマでお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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