映画館で観る映画は、ある種の特別な体験のように思います。 大きなスクリーンで映像作品を観るというのは、他にはない情感を与えてくれます。 受動的であり、パーソナルな体験であり、どこまでも一人で楽しむものではあるのですが。 それでも、誰かと一緒に…
「世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし」そう詠ったのは、在原業平だったでしょうか。
ふと、書きものをしている手をとめて。コーラアップを一つ口に含んで、その固めの食感を楽しんでいると。セピア色の記憶を、思い出させてくれます。
夢、というのは不思議なもので。まったく奇想天外な夢を見ることもあれば、過去の思い出のような夢を見ることがあります。
冬の夕暮れは家路を急がせますが、春のそれはどこかあたたかで、観る人をぼんやりとさせるようです。その色の移ろいは、私の高校時代のことを想起させてくれるようです。
いまは亡き、そんな祖父とのキャッチボールを、思い出していました。それはどこか、あのボールを捕っていれば、というほろ苦い申し訳なさとともに、思い出されるのです。
花は誇らず、ただ咲くのみなのですから。そして、私自身も、そのように在りたいと願うのです。