人を惹きつけるモノには、必ずストーリーがあります。
そしてそのストーリーに惹かれ、また多くの人とストーリーが集まってくるのだと思うのです。
不定期でお届けしております「人のご縁」シリーズです。今回は滋賀県は大津市にあります「ブルーベリーフィールズ紀伊國屋」さんに寄せて。
ホームページはこちらのサイトですね。
琵琶湖の西側の小高い山の中腹にあり、無農薬で栽培されているブルーベリーの農園とレストラン、そしててづくりジャムと天然酵母のパンの工房が併設されています。
レストランで琵琶湖を一望しながらのランチやディナー、ティータイムの時間を楽しむことができます。そして夏にはブルーベリーの摘み取り体験も開催されておられます。
そんな紀伊國屋さんのストーリー、それは今から三十数年前、一人の女性が琵琶湖を見下ろすその地でブルーベリーの栽培を始めようと決意されたときから始まります。当時日本では珍しかったであろうブルーベリーを、無農薬・無除草剤で栽培するのには大変な苦労があったことは想像に難くありません。
このあたり、その女性ご本人の岩田康子さんが綴られた「ブルーベリーの実る丘から(創森社)」に詳しいです。
そしてそのブルーベリーを使った手作りのジャムが大変評判を呼び、今では手作りジャムや天然酵母のパン、焼き菓子などを百貨店などの催事に出展しておられます。
私が紀伊国屋さんのジャムに出会ったのも、その催事でした。
そして何度か現地に伺い、あの美しい風景と美味しい料理とブルーベリー、そしてそこにある笑顔に癒されました。
こちらは、そんな素敵な雰囲気を描いてみた言葉です。
琵琶湖を一望できる絶景。
その麓にたわわに実るブルーベリー。
草いきれの中に飛ぶ、蜂や小鳥。
日常の喧騒の中でともすれば忘れがちな、汗を拭いながらの土や植物や風との対話。
みな違う表情をした、まんまるの紺色の実。
生産者の顔が見える一皿。
息子の大好きな「ブブエリ」ジャム。
その土地に、何度も癒された。
ただそこにある土地。
けれどその地名を聞くだけで、訪れた人にとって美しい情感を想起させるのは、なぜだろう。
きっとそれは、そこに関わる人のその土地への、深い愛情と信頼と歴史と誇りとが成せるものだと思う。
あかいみはあかちゃんだから、
まだとっちゃだめだよ。
くろいおおきなみをとってね。
三日月のような優しい目をしたその人の教えを、子どもたちはきっといつまでも覚えているのだろう。
あの空と湖とブルーベリーの色とともに。
2017.4.18
せっかくなので、少し写真もあわせて。
湖西道路を西に入り、さらにこんな山道を登っていきます。
男性にしては珍しく?地図が読めない私は常に10000%ナビ任せなのですが、それでも毎回道が合っているか不安になります・・・
山道を登り切った先には、こんな素敵な手作り看板がお出迎え。
夏にはこんなにたわわに実るブルーベリーに出会えます。美しい。
ときどき「主」のような一回り大きな実があったり、小粒な実が連なっていたり、一粒一粒表情が違って、見ていて飽きません。
前述の岩田さんの著書にもありますが、開業当初はブルーベリーがほとんど売れずにそのまま落ちるに任せていた、その地面。
ジャムの生産数を上げたところクオリティが保てず、1,000本近いジャムをブルーベリーの木の根元に捨てたという、その地面。
紀伊國屋さんの歴史とストーリーが詰まった地面です。
ブルーベリーは、きっとそのストーリーを栄養にして育ってきたのでしょう。
こんな素敵な料理を・・・
こんな絶景を眺めながら頂くことができます。
撮影したのはお盆が終わったあたりの時期でした。たなびく雲が竜のウロコのようです。
レストランの1階では、手づくりのジャムや焼き菓子の販売もあります。
とっても素敵な空間ですが、なによりも素敵なのは接客して頂ける方の笑顔です。
その笑顔と優しい雰囲気は、この場所への深い愛情からつくられるものなのでしょうか。
そんなふうに、ブルーベリーフィールズ紀伊國屋さんは、訪れる人それぞれにいろんなストーリーを見せてくれます。
もしも今日のブログをご覧になったお客さまがあのレストランを訪れたり、どこかでジャムを見かけたら、きっとそこからまた新しいストーリーが紡がれることでしょう。
私自身も、紀伊国屋さんとこれからどんなストーリーが紡いでいけるのか、とても楽しみです。
一段と寒さが厳しくなってきました。
どうぞ、ごゆっくりお過ごしください。