大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

凛とした美しき伝統 〜東京尾山台・オーボンヴュータンに寄せて

東京は世田谷区・尾山台にあります洋菓子の聖地を訪れましたので、今日はその訪問記を。

 

尾山台にあります、AU BON VIEUX TEMPS(オーボンビュータン)

日本の洋菓子を牽引されてきた、河田勝彦シェフのお店です。

パティシエという言葉が市民権を得るずっと前から、フランスの伝統的なお菓子を変わらず伝え続けてきた名店。

ここから独立された有名なシェフは数知れず。

私は10年ほど前に尾山台を一度訪れたことがありましたが、その後近くに移転されパティスリーとともにシャトルキュリー(ソーセージやパテ、テリーヌなどの食肉加工品)の販売と、ランチを含む喫茶を始められたと伺っておりました。

一度新しい店舗を訪れてみたいと思っていたところに、東京へ出る予定が入りましたので、ワクワクしながら訪問してきました。

尾山台駅は、東急大井町線。

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学生時代に東急東横線沿いで下宿していましたが、こちらの方面に足を向けることはあまりありませんでした。 

今考えると、もっといろんなところに出かけておけばよかったと思うこともありますが、年を取らないと分からない価値もありますね。

改札を出て、ハッピーロード尾山台という商店街を通って南へ歩いて10分ほど。

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環八通りとぶつかる交差点を右に曲がると、その赤い聖地は見えてきます。

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凛としたた佇まい。

赤い印象的な色遣いですが、この尾山台の街並みに溶け込んでいました。

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お店の外から見える焼き菓子が美しい。

店内に入ると10年前に移転する前のお店に訪れた時と同じ、たくさんのお菓子の華やかな中にも凛とした雰囲気が感じられました。

ランチは12時からとのことで予定が合わず頂けませんでしたが、店内で販売されているお惣菜類を喫茶スペースで頂くことができました。

シャトルキュリーのケース。

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バターライスとお肉を詰めた「トマト・ファルシー」と、アンディーヴのハム包みグラタン「アンディーヴ・ジャンボン」、そして今日のパンをオーダーしました。

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恥ずかしながら「アンディーヴ」とは何かよく分からずオーダーしたおのぼりさんですが、「チコリー」のことでした。

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ハムの中にはこんなに立派なチコリー、いやアンディーヴが。

その苦味とホワイトソースの甘みがよく合います。

トマト・ファルシーとあわせて、パンにソースをつけて食べるという動作が止まりませんでした。 

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食後にカフェ・クレームを。

最近、ミルクたっぷりがお好みの私です。

不惑も近い男性のおひとり様だったのですが、こんな素敵なハートマークの絵を描いて頂いて、恥ずかしくもあり嬉しくもあり。

お腹も満たされたあとは、おみやげを何にしようか悩みます。

あまりに美しいショーケースを撮ってもよいですか? とお伺いすると、快くOKを頂きました。

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ボンボン・ショコラの数々。

一粒一粒が輝いています。

結局悩んだ末に、おみやげの一つはこちらから「オランジェット」にしました。

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ケークやヴィエノワズリーといった乾きものたち。 

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色とりどりのギモーブ、そして飴菓子たち。

その一つ一つの色合いが美しい。

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コンフィズリーとキャラメル。

コンフィズリー大好き。

おみやげのもう一つは、こちらの詰め合わせにしました。 

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こちらは半生菓子。

どれも凛とした表情をしています。 

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そしてお店の華、生ケーキの数々。
やっぱりショーケースは宝石箱。

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真ん中右のカップに入ったケーキが、店名にもなっている「オーボンヴュータン」。

カスタードクリームと洋梨のコンポート、ポワール種を使ったケーキ。

「オーボンヴュータン」とはフランス語で「旧き良き時代」。

河田シェフはどんな想いで、この名前を付けられたのでしょうか。

フランス菓子の伝統を重ねてきた日々なのか、

それともシェフがフランスで修業された時代なのか。

それはともかく、私も10年ぶりに訪れたこの名店の凛とした空気を味わえたことで、10年前の自分に想いを寄せながら尾山台駅への道を歩いたのでした。

そう、旧き良き時代を思い出しながら。