夜なればこそ。
きらびやかなイルミネーションが映えるのも、夜だから。
昼間の明るさの下では、それは映えない。
影があるから、光が存在できる。
光あればこそ、影ができる。
陰陽。
マイナスと、プラス。
いいことばかり起きることを願うよりも、
望まない現実が起こっても対処できるような、
心の強さと頭の柔らかさを持っていた方が、豊かな生を送れると言える。
清濁合わせ呑むくらいに鷹揚としていた方が、楽に生きられる。
自分に光だけを求めようとすると、
息苦しさと堅苦しさを周りに振りまき、
いつのまにか相手が疲れてしまう。
光だけの相手を求めて仮に得られたとしても、
しばらくすれば相手の粗を探し始め、
文句や愚痴で自分が影になってしまう。
バランスの、法則。
春が過ぎれば夏が来るように、
秋が過ぎれば冬が来るように、
自然のサイクルには抗えない。
自らの心は、
新緑の風の下か、
錦秋の澄んだ空の下のように、
暑くもなく寒くもないニュートラルな場所に置いて、
夏が来たら薄着にして、
冬が来たら厚着にする、
準備を整えておけばいい。
時間はかかれども、いつかそれは巡り巡ってくるのだから。
夜なればこそ、
昼なればこそ、
世界は美しい。