夏の終わりに、滋賀県は大津市にある日吉大社を訪れた。
初めて訪れるため、いろいろ調べてみた。
比叡山の麓に鎮座する当大社は、およそ2100年前、崇神天皇7年に創祀された、全国3800余の日吉・日枝・山王神社の総本宮です。平安京遷都の際には、この地が都の表鬼門(北東)にあたることから、都の魔除・災難除を祈る社として、また伝教大師が比叡山に延暦寺を開かれてよりは天台宗の護法神として多くの方から崇敬を受け、今日に至っています。
そういえば、今年の5月に東京の日枝神社を訪れたのだったと思い出す。
こういうのは繋がっていくものだなと思いながら、2,100年という悠久の歴史を想う。
この日は名古屋から車での参詣だったが、途中の四日市インターあたりで事故渋滞に嵌ってしまい、最寄りの「比叡山坂本駅」まで仲間を迎えに上がる予定が、遅れてしまった。
それでも、2時間半で日吉大社の駐車場まで来ることができた。
行くと決めてしまえば、近いものだ。
車を停めて、東受付から東本宮への楼門を望む。
夏の終わりらしく、ツクツクボウシとミンミンゼミが鳴いている。
参道の脇には水路があり、清らかな水が流れる音が聴こえてくる。
しばし黙り、その音たちに耳を澄ませる。
楼門をくぐって、東本宮の周りを思い思いに参拝する。
境内にも、水が流れていた。
東本宮本殿の前で、手を合わせる。
本殿は国宝で、1595年の造成、日枝造り(ひえづくり)という独特の形で造られているそうだ。
御祭神は大山咋神(おおやまくいのかみ)を祀っておられる。
東本宮から西本宮へ向かう道中にある、宇佐宮本殿。
こちらも東本宮本殿と同じく、日枝造りという形式で造られている。
東本宮とは、また雰囲気が変わる。
蝉の声は、変わらず響いていた。
雨に煙る神社もいいのだが、やはり青空の下の神社はいい。
社の色と、木々の緑と、空の青と白。
宇佐宮本殿の前の拝殿。
神事の際には、この拝殿で祈りを捧げるのだろうか。
西本宮の楼門の脇に、小川が流れていた。
東本宮の水路といい、どうも水が印象的な境内のように感じる。
流れる水の音を聴いていると、やはり心が澄んでいくようだ。
西本宮の楼門。
ちょうどご祈祷始まるところで、和太鼓の音が響く。
水の音、蝉の声、太鼓の音、祝詞…日吉大社の神さまは、いろんな音で歓迎をしてくれているのだろうか。
車を停めたところまで戻る道すがら。
変わった形に曲がった松に目が留まる。
西本宮への参道。
神社の参道を歩く時間は、つくづく瞑想に似ている。
人の気配も少なく、心地よい時間。
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この日の大津市は、週中からずっと雨予報で空模様を心配していたのだが、蓋を開けてみれば気持ちよく晴れた。
適度に曇って暑すぎず、境内を歩いていて心地よかった。
心配事も、怖れも、不安も、もちろんあるのが人の心。
それでも、最後には晴れる。
この日の空のように。
ミンミンゼミの鳴き声が、変わらず境内に響いていた。