大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

曇天の秋の空の下、全人馬の完走を願って。 ~2019年清秋ジャンプステークス 観戦記

久しぶりに中山競馬場を訪れた。

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直近で訪れたのは、いつだったか。

たしか、ディーマジェスティが勝ったセントライト記念だったような気がするから、ちょうど3年ぶりか。

船橋法典駅からの地下道が、えらく空いているように感じる。

重賞も行われない土曜日の開催、しかも訪れたのが昼過ぎなのだから、当然と言えば当然なのだが、どうも有馬記念のえげつない混雑のイメージが強いのかもしれない。

船橋法典駅からの地下道の壁の、歴代の皐月賞馬・有馬記念馬の展示を眺めながら歩く。

この類いの装飾は、大好きだ。

やはり積み重ねてきた歴史というのは、最強の資産なんだよなぁ、とひとりごちる。

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1977年、有馬記念・テンポイント。

「中山の直線を流星が走りました」の名フレーズをつぶやきたくなる。

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1990年、「伝説の」有馬記念、オグリキャップ

このときの入場者数、17万7千人。
17万って…ひとつの「市」に住んでる人が、一人残らず全員ここに詰めかけたくらいの人数と考えると、恐ろしい。

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2001年、皐月賞馬・アグネスタキオン。

光速を越える粒子の夢の続きを、見てみたかった。

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このスタンドに出て、コースが目に入ってくる瞬間が、たまらなく好きだ。

今日は曇天模様。

ほんの少し前まで残暑だの言っていた気がするのに、吹く風は涼しく、わずかに肌寒さを感じるようになった。

GⅠレースのある日の混雑と緊張感もいいが、重賞のない土曜日ののんびりした雰囲気も大好きだ。

好きなところで、好きなように観戦できて、パドックも発売機も売店も混んでいなくて、移動も楽で。

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数々の名勝負を生んできた、直線の急坂を登り切ったゴール前。

今日はどんなドラマが生まれるのか。

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今日のお目当て、清秋ジャンプステークスのパドック。

Twitterでいつも障害レースの魅力をツイートしてくださる「びくあろ(@victory_arrow)さん」をフォローさせていただいている影響や、昨年の有馬記念にも挑戦した絶対王者・オジュウチョウサンの活躍で、ここのところジャンプレースを観ることが多くなった。

びくあろさんのブログでは、3番のディライトフル推し。

ただ、発表された馬体重が+14キロと、8歳のセン馬にしては大きな変動。

果たして、この変動がどう出るか。

本馬場入場の際に、ほんの少し雨がぱらついていたが、なんとかこまま天気はもちそうな気配である。

軽やかなジャンプレースのファンファーレが鳴り響く。

全人馬、無事に完走することを祈って、無意識的に手を握ってしまう。

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まずはダートコースからのスタート、1周目のスタンド前を全馬が通過していく。

ディライトフルと白浜騎手は先手を主張、1つ目の障害を飛越するまでに先頭を奪い、「ついてこれるなら、どうぞ」とばかりに差を広げていく。

障害を飛越するたび、リードが拡がっていき、おおよそ2番手との差は10馬身近くも開いていく。

ディライトフルは残りの13頭を従えながら、2周目のスタンド前に戻ってきた。

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後続馬がカメラに収まり切らないリード。

ダビスタの改造馬を思い出す。

2周目の向こう正面のあたりで、後続馬も差を詰めにかかる。

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最終障害を飛越して、ディライトフルと後続との差がほとんどなくなって、最後のコーナーをカーブして直線コースに入ってくる。

がんばれ、ディライトフル、白浜騎手。

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詰め寄られたが、ディライトフルは二の脚を使って、後続馬を再び突き放す。

スタンドから声援が飛ぶ。

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そのままリードを保って、ディライトフルが1着で入線。

後続馬も、全馬無事に入線したようだ。

自然と拍手が上がる。

ジャンプレースはいい。

ぜひ次は、伝統の中山大障害を見に来たいものだ。

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びくあろさん推しのディライトフルで、当たった。

お目当てのレースで当たるのは、ほんとうに嬉しいものだ。

びくあろさん、ありがとうございました。

もちろん、払戻金はそのまま拡大投資に使われるのだが…その結果は記さないでおく。

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それにしても、賭場に来ると甘いもの欲が炸裂するのは、私だけだろうか?

やはり頭を使うと糖分を欲するのだろうか。

モカコーヒーソフト、美味しゅうございました。

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お目当てのレースが終わったので、4コーナー手前の芝生でゴロゴロする。

陽も出ていなくて、ちょうどいい塩梅。

ものがたりのプロットを考えなくては…と思いつつ、気付けば寝落ちして、次のレースのファンファーレで起きてレースを観て、また考えなくては…というループを繰り返すこと数度。

秋の曇り空の下、気持ちのいい時間だった。

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雲を見ていると飽きない。

時間とともに変化し、不思議なかたちを織り成してくれる。

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直線を眺めながら、幾多の名馬が走った直線なのだなぁ、と感慨にふける。

シンザン、ルドルフ、オグリ、ブライアン…たくさんの名馬たちの足音が染み込んでいるのだろう。

やはり歴史とは、最強の財産なのだ。

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祭りが終わって。

最終レースでもやられるという安定のコースが、寂寥感をさらに誘う。

船橋法典駅への地下通路に展示された名馬たちの写真も、行きのときのワクワクとは違って、どうも寂しそうに見える。

寂しさを癒すためには、次を作るしかない。

バイバイ、中山競馬場。

また来るよ。