触れることは、その対象に意識を向けること。
その対象に意識が向くと、当たり前が当たり前でなかったことに気づく。
当たり前ではないことは、「有難い」こと。
三段論法により、触れることは、感謝すること。
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今週に入って暖かい日が続いて暖冬かと思っていたが、やはり冬らしい寒さになってきた週末。
日中も曇り空が広がり、師走らしい寒さの日だった。
待ちゆく人の忙しなさに、年の瀬を感じる。
無理してしなくてもいいとは思いつつも、普段とは違う場所を少しずつ掃除したくなるのが人情なのだろうか、折を見てはカーテンを洗ったり、窓ガラスを拭いたりしだす、12月。
今日は冷蔵庫の中とキッチン周りを拭き掃除してみた。
なかなかどうして、「こんなところに」というところに汚れやほこりが溜まっているものだ。
冷蔵庫の中も、棚を一つずつ外して洗って拭いていく。
キッチンの引き出しも、調味料を全部出して洗う。
炊飯器も、内蓋を外して、中を拭いていく。
拭きながら、いままで当たり前に思っていたキッチンの風景が、当たり前ではないことに気づく。
この触れている冷蔵庫が何か壊れたりしていたら、毎日の食事もできないだろう。
この炊飯器のご機嫌が悪かったら、美味しいお米を味わうこともできないのだろう。
当たり前の、当たり前でなさ。
そう思うと、拭きながら感謝したくなってくる。
当たり前でないのは、有り難いもの。
ありがたいもの。
毎日、ありがとう。
そんなことを念じながら、無心で拭く時間が流れていた。
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あれは祖母だったか、小学校の先生だったか忘れてしまったが、以前に聞いた「拭き掃除は掃除の基本」という言葉を思い出す。
拭く、ということは、その対象に触れる、ということ。
触れることは、その対象に意識を向けること。
意識を向けると、それが当たり前ではなかったことに気づく。
当たり前でないものには、感謝したくなる。
面倒だし、わざわざ忙しい年末にしなくても、とか毎年思うような気もするが、なんだかんだ言っても、やはり大掃除は年の瀬にふさわしいのかもしれない。
触れると、もふもふしてゴロゴロするヤツもたまにいる。