葉桜が好きだ。
満開の桜も、もちろん美しい。
これから花を開かせようとする蕾も、また美しい。
けれど、葉桜の美しさは格別だ。
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今年の桜は、ことのほか長く咲いているように感じる。
雪が降ったり、寒の戻りが多かったせいだろうか。
それとも。
世情を憂い、できるだけ多くの人を癒すために、だろうか。
もし、そうだとしたら。
小さな五弁の花びらで、必死に散ることを耐えているのだとしたら。
その花弁に、畏敬の念を払いたくなる。
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葉桜が好きだ。
桜の花は、咲きはじめが淡い紅色、そして満開になると白色に近づくという。
その白色と、生命力の緑が交差する瞬間。
麗らかな春から、力強い新緑へとバトンをつなぐ地点。
はじまりと、おわりが集う場所。
今日、ここから、始めよう。