今日は一足早く春が飛んできたような、そんな陽気になりました。
時候は「啓蟄」も末。
七十二候では「桃始笑/ももはじめてさく」、季節の桃の花が咲くことを「笑う」と表現する、私の好きな時候の名の一つです。
花が咲くことを、「笑う」と表現する、昔の人の感性の豊かさを想います。
自宅の近くには、桃の花はあまり見かけないのですが、代わりに梅の花はもう満開です。
白い梅、赤い梅、ピンク色の梅。
青空の背景が、よく似合う梅の花。
こうして見ると、梅、桃、桜の花の形は、よく似ているようです。
枝に直接咲くのが梅、枝から伸びた緑の茎に咲くのが桃と桜。
桜の方が、緑の茎が長いのと、花びらの先が割れているという違いがあるそうです。
その違いを見ているうちに、本格的な春もやってきそうです。
路傍の花も、冬の間には見かけなかった色目が。
オオイヌノフグリでしょうか。
こちらの花も、一輪だけ黄色い微笑みを投げかけていました。
この色を見ると、春を感じます。
「春は、黄色からはじまる」
そんな言葉を、思い出します。
私の好きな木蓮の花が、もう間もなく開きそうです。
先月には、まだあんなに小さく固く閉じていた蕾が、もうはちきれんばかりに。
この花が咲きかける瞬間は、美しいものです。
こんな風景が見られるのも、定点観測をする大きな恩恵なのでしょう。
陽射しは、もう春そのものでした。
暖かく、力強く、そしてどこか、輪郭のぼやけた感のある、陽光。
それを、麗らか、と呼ぶのかもしれません。
春が、やってきました。