休診、か…
土曜日だから診察しているだろうと思って、朝一番で訪れた皮膚科は、入り口に「臨時休診」の札が掲げられていた。
病院も、世間にあわせて四連休らしい。
祝日が二日続いた後の土曜日だから、事前に確認しておくべきだったか。
前日から降り続く雨に、傘をさしてここまで歩いてきたが、また同じ道を戻ると思うと、至極億劫になった。
湿度は高く、噴き出した汗は止まらない。
そうはいっても仕方なく、閉じた傘を再び広げて、雨に濡れた道を歩き出す。
帰りは、少し道を変えてみよう。
梅雨明けはまだらしく、しとしとと降る雨は、止む気配がなかった。
そんな川沿いの道すがら、薄紅色の頬が濡れているのを見かけた。
真夏、というのは花の種類が少なくなるように思う。
そんな中でも、微笑んでいた。
雨に濡れる花というのは、どうしてこうも美しいのだろう。
晴れた空は見えなかったが、そのおかげで雨に濡れた花を見ることができた。
病院にはフラれたが、そのおかげでこの花を見つけることができた。
「取りこぼしている、幸せ」
そんな言葉が、思い浮かぶ。
日々の中で、取りこぼしている幸せは、ないだろうか。
傘をさすことも、雨に濡れることも、病院に歩いて行くことも、朝目覚めることも。
何もかもが、当たり前であるはずもない。
探しているものは、そこにあるのだ。