さて、断酒して685日目である。
1年と10か月。長いようで、短いようで。
はじまりは、2018年の11月3日だった。
よく覚えているのは、旗日だからだろうか。
肌寒い、小雨降る日だった。
ぽいぽいと、息子は橋の上からカメに餌をまいていた。
その風景を、よく覚えている。
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いったい、過去というものは、どこへ行くのだろう。
「あのとき、こんなこと言ってたよね」、あるいは「昔、ここに行ったよね」などと、誰かに言われても思い出せない過去もある。
そうかと思えば、つい先ほどのことのように、その空の色、空気の感触、匂いなどを覚えている過去もある。
時に、それはどこか、多重録音のように。
過去は、どこへ行き、どこに保存されているのだろう。
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過去とは、文字通り、過ぎ去っていくものだろうか。
単純に、そうでもないような気もする。
誰にでも、何気ない瞬間にふっと沸くような記憶というものが、あるのだろう。
そのときの、その場所の、土の匂い。
大切な誰かの、ふとした表情。
耳の奥に残る、ふとした物音たち。
肌に触れる、空気の感触。
それは、記憶と呼ぶべきものというより、いまそこにあるような気もする。
どこか、近く。
どこか、遠く。
そんな過去と、今日もともに生きている。