大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

神無月の終わりと、二度目の満月。

神無月も、晦日。

振り返れば、今月の頭に中秋の名月を眺めていた。

その満月も、欠けてはまた満ち、今日はまた満月。

同じ「月」のなかに、二度満月があるというのは太陽暦ならではだが、どこか得をしたような、どこか特別なひと月のような、そんな感じもする。

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澄んできた秋の夜空に浮かぶ満月は、やはり美しく。

それでいてどこか、何かを探して、問いかけてくるような面持ち。

暦も、名前も、数字も、人のつくりしもの。

月はいつも変わらず、ただその顔を夜空に映す。

晴れの日も、分厚い雲の向こうでも。

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いつか見た、満月。

遠出をした帰りだったのだろうか。

父の運転する車、母が助手席にいた。

その途切れ途切れの会話を、月を眺めながら聞いていた。

遅くなった帰り路のこと、後部座席の私はもう眠っていると思っていたようだった。

子ども相手ではない、その大人の会話に入りたくて。

どこか、寂しさを覚えた。

はやく、大人になりたい。

ぼんやりと、そう思った。

月は、車がどこまで進んでも、追いかけてくるように、車窓からぽっかりと浮かんでみた。

あれからどれくらい、経ったのだろう。

前の座席の二人と、同じくらいの年齢にはなったけれど。

どこか、その寂しさは、そのままでいる。

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そんなことを想いながら。

神無月、二度目の満月を見上げる。

今月、多くの月が見られてよかった。

満月も、十三夜も、そして新月も。

明日は、もう霜月。

月は、きっとまた変わらずに、その姿を映してくれる。