思い出したかのように、急に冷え込んだ。
今年は暖冬にはならないらしく、冬らしい寒さが感じられそうだ。
時はとめどなく流れ、季節は移ろいゆく。
「大雪」も次候、「熊蟄穴(くまあなにこもる)」に移ろう。
この寒さに、熊も冬眠のために巣穴にこもる時候。
深き山々のなかで、暖かい春を夢見て巣穴にこもる熊を思い浮かべる。
目に見えるものだけではない、生きとし生けるものへの慈しみが感じられる、その名である。
されど、目に映るものを愛でることも、また季節を愛で、世界を愛で、いまを愛し、そして自分を深く愛でることなのだろう。
冬枯れの風景の中にも、美しき色がある。
目を凝らすほどに、それは鮮やかな色合いをもって現れる。
枯れた色の葉の中にも、紅が差して。
先日は名前が分からなかったが、バラ科の「ぼけ」の花だと名札がついていた。
黄色の傘からは、甘く、微かに遠い南国を感じさせる芳香が。
この日は、少し遠くからでも香った。
赤、白、緑、青。
パレットに色を広げたかのような世界が、広がっていた。
季節が流れるからこそ。
そこに、生が見える。
いまが、輝く。
生々流転。
ながれゆくものにこそ、永遠は宿る。