さて、断酒809日目である。
都合、2年と2か月、もう飲んでいたことも忘れてしまうようだ。
断酒を始めるときに、参考にしていたサイトで、断酒の効用の説明があった。
断酒して1週間の効用、1か月の効用、3か月、半年…など、それぞれの期間で起こる効用について書かれていた。
ふんふん、と参考にしながら、自分の体験と答え合わせをしていた。
その中で、3年経つと別人になり、何がしかの成果が出る、とあり、当時は「おぉ、すげえ!楽しみだ!」と感嘆していた。
しかし考えてみれば、断酒していようが、していまいが、3年も経てば人も変わるのが普通である。
そして何がしかの成果を見つけられない方が、難しいだろう。
どんなことであれ、3年間生きてくれば、何がしかのことをしてきたはずである。
それは何か頑張ってきた、積み上げてきたものだけでもなく、休息を取ったということも、一つの成果なのだろう。
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そう考えていくと、ある意味で断酒に対しての幻想から冷めているような気もする。
一振りで世界を変える魔法の杖、
どこかにいるはずの幸福の青い鳥、
まだ出逢っていない運命の人、
完全無欠のメンター、
この世の中の唯一無二の真理、
あるいは、誰よりもすごいほんとうのじぶん、など。
そうしたものがもたらす熱病のような高揚感、
あるいは、恋愛初期における全能感や多幸感。
そうしたもののもたらすものからは、遠く離れてしまったような気もする。
断酒は、魔法の杖でも青い鳥でもない。
そう思えるだけ、冷めてきてはいる。
しかし、面白いのはここからだ。
恋愛において、相手の全ての美点が反転してからが面白いように。
青い鳥が実は家の中にいたことが分かってからが、スタートのように。
自分の才能どころか、反吐が出そうな闇を見ることがはじまりのように。
スルメは、噛むほどに旨いのだ。
淡々と、淡々と続けてみよう。