今日は、春立てる日。
立春である。
つい先週末は雪が降っていたように思うが、それでも立春と聞くと、どこか風の中にも春の薫りを感じるような気もする。
思い込みというか、プラシーボ効果というか、そういうものもあるのかもしれない。
すべてはひとつながりで連続しているとするならば、季節の境目もまた、ほんとうのところはシームレスなのだろう。
されど、良くも悪くも、区切りがあると人は安心するものだ。
それがあればこそ、こうして春の訪れに耳を傾け、喜ぶこともできる。
七十二侯では、「東風解凍、はるかぜこおりをとく」。
東風を「はるかぜ」と読むのが美しく、私の好きな時候のひとつだ。
氷が水になる、その一滴。
東の空に曙光を見る、その一瞬。
北風の中に微かな暖を感じる、その刹那。
春は、訪れる。
「春隣、はるとなり」。
厳しい冬の寒さの中に、どこか春の気配を感じる、そんな言葉を思い出す。
春、立てる日。
新しい春が、やってきた。
立春の朝、東の空はほのかに紅く。