大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー見習い。

花は誇らず、ただ咲く。

音に波があり、海に波があり。

風に揺らぎがあり、生きることにも山谷があるように。

空模様もまた、日々変わりゆく。

 

昨日は、久しぶりに土砂降りという表現がぴったりとくる雨風だった。

朝から気圧は低く、身体もずしりと重い感じがした。

だからだろうか、朝から頭痛がひどかった。

 

それが一夜明けると、透き通った青空が広がっていた。

それは、秋の台風一過の空のような清々しさを想起させてくれた。

 

時に台風がそうであるように。

大きな低気圧が通った後は、澱んだ空気を巨大なエネルギーでかき混ぜ、そして吹き飛ばしていく。

 

大きな雨、風が過ぎ去った後の、今日の風は、もう新緑のころを思わせるようだった。

 

いつもの川沿いの道も、あちこちで春の花が咲き始めていた。

雪柳、木蓮ミモザ…ほんの数日の間に、これほど変わるのかと驚嘆するくらいだ。

 

桜並木の下を歩く。

 

見上げれば、その枝先の蕾は、微かに緑色を帯びていた。

ほんの少し前までそれは小さな茶色で、赤子の手のように、固く握りしめられていたのに。

 

その小さな緑色の中に、あんなにも人々のこころを騒がしくさせる、薄桃色の花が詰まっていると思うと、不思議な心持ちがした。

 

世の中にたえて桜のなかりせば

春の心はのどけからまし

 

千年以上も前の歌人すら、そう歌っていたように。

 

その花を待ち、人々のこころを躍らせる、そのエネルギー。

それが、その小さな緑色の蕾に詰まっている。

 

なぜ、そんなにも大きなエネルギーの花を、咲かせることができるのだろう。

 

そんなせんない自問に対して、並木の下を歩きながら、答えをぼんやりと考える。

 

誰かが信じているから。

 

もし、そうであれば、素敵なことだ。

けれど、そうでもないような、気もした。

 

誰かが信じていても、誰も信じていなくても。

皆が待つにぎやかな桜並木でも、誰も通らない深山の淵でも。

 

花は、咲くのだ。

 

花は誇らず、ただ咲く。

 

だからこそ、こころ惹かれる。

 

f:id:kappou_oosaki:20210314145207j:plain

この小さな蕾の中は、無限。

________________________

〇お問い合わせ先

執筆についてのご依頼・お問い合わせはこちらから。

Instagramnaoto_oosaki/Facebok:naoto.oosaki.5

Twitter@naoto_oosaki/LetterPot:users/13409 

________________________

〇大嵜直人の作品一覧はこちら

【大嵜直人の執筆記録】

________________________