春分の日。
彼岸の中日。
あるいは、雀がはじめて巣くうころ。
陰中の陽。
陰中の陰を経て、少しずつ長くなってきた日の長さは、いつしかその長さを半分にまで伸ばす。
昼と夜の長さが等しくなり、春は大きく伸びをして暖かさを増していく。
影が深ければ、光もまた眩しい。
いつだったか。
息子と娘が「おかあさんといっしょ」でやっていた「はんぶん、はんぶん、はんぶんこ」という歌を歌いながら、クッキーをはんぶんこしていたのを思い出す。
いや、はんぶんに割っていたのは、わたしだったか。
はんぶん、はんぶん、はんぶんこ。
昼と夜も、はんぶんこ。
光と影も、はんぶんこ。
男と女も、はんぶんこ。
悲しみと喜びも、はんぶんこ。
寂しさとつながりも、はんぶんこ。
罪と愛も、はんぶんこ。
わたしとあなたで、はんぶんこ。