気づけば、春も名残。
夏立てる日も、近くなってきた。
季節は目に見えているものよりも、早く進んでいく。
そして、目に映るものもまた、少しずつ移り変わっていく。
ツツジにはさまざまな色があるが、この紫がかった赤色が、ツツジらしくて好きだ。
躑躅(つつじ)色とは、この色を指すと聞く。
昔から多くの人に愛され、歌にも詠まれてきた色。
千年の昔から、この晩春から初夏を彩ってきた。
早春の訪れを告げる、黄色の花。
そして、桜の淡い色。
それを過ぎると、その色はだんだんと濃くなっていく。
この花は、なんという名の花だろう。
その色合いは、やはり少し夏の彩りのようで。
季節に色があるとするならば。
秋は、やはり橙色、あるいは黄金色だろうか。
冬は、純白。
春は、どうだろう。
淡い桜色も捨てがたいが、早春の訪れを告げるような黄色も捨てがたい。
そして、春が深まるにつれ、だんだんと青系統の色味が挿していく。
夏は、透き通るような、それでいて力強い、青。
そんなことを考えながら、川沿いを歩く。
そうすると、やはり青が目に留まるようで。
薄い紫、高貴な色。
青の中に、黄色。
菖蒲か、アヤメか。
晩春の青。
いましか見られない青を眺め、過ぎゆく春を想った。