朝、いつもの道。
紫色の小さな蕾。
そういえば、この季節にいつも咲く、萩の花。
アレチヌスビトハギ、だったでしょうか。
季節のめぐりというのは、不思議なもので。
日々は何も変わらないように見えて、気付くと大きく変わっていたり。
別れたはずの花に、また再会できたり。
季節のめぐりを眺めていると、永遠に続くものなど何もないし、それでいて、失われることは幻想だと感じることができるようです。
時の流れは、過去から未来へと流れているのではなくて。
どこか、円環を描いているようにも見えます。
昼下がり、涼しさすら覚える日差しの下で。
同じ道を歩くと、朝は蕾だった紫が、咲いていました。
この小さな、紫の色。
秋には、この高貴な色が、よく似合うようです。
その足元の草むらからは、鈴に似た虫の声が聞こえてきました。
移ろう季節の下、ただ私はそこに立っていました。