大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

満ちれば、咲く。

日中はまだまだ日差しに強さを感じますが、朝晩はずいぶんと涼しくなってきました。

ウォーキングをしていても、聞こえてくるのは鈴虫やコオロギの音色。

日に日に、秋らしさは増していくようです。

もう来週末には、秋分を迎えるようですから、ようやく本格的な秋になっていきます。

歩いていると目にする花も、少しずつ秋の色に変わっていくようです。

目に入ってきたのは、紫の小さな花。

アレチヌスビトハギ。

小さいころに「くっつき虫」と呼んでいた、あの草です。

草むらで遊ぶと、靴やズボンにずいぶんとたくさん、あの種をくっつけたものです。

秋の早い夕暮れのなか、その種を一つ一つ、はがしていたことを思い出します。

まったく、小さいころには迷惑でしかなかった植物ですが、大人になってみると、その小さな紫が秋らしさを感じさせてくれるものです。

「紫」というのは、昔から高貴な色として扱われていたと聞きます。

どの季節よりも、この秋の時期にふさわしい色のように感じます。

不思議なものですよね。

不思議といえば、毎年、この同じ時期に同じ花が咲くのは、本当に不思議というか、奇跡のように感じます。

何も言わずとも、時が満ちれば、花は咲く。

連綿と繰り返されてきた、その奇跡。

私たちもまた、同じなのかもしれません。

焦ることなく、驕ることなく。

季節のめぐりに、身を委ねる時間があっても、いいのでしょう。

風に揺れる、この紫の小さな花とともに。