大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

雨上がりの木々のざわめきを聞く、卯月の熱田さん。

桜が咲かないとか、咲いたとか。

そんなことを言っているうちに、もう卯月の声を聞くころになりました。

それにしても、春らしく、雨が降っては止み、止んでは降ってという、不安定な気候が続くようです。

そんな卯月のはじめ、熱田神宮を参拝することができました。

前日の夜にはずいぶんと強い雨が降っていましたが、朝には止み、徐々に晴れ間も見えてくる日でした。

日差しがあると、やはりぐっと気温が上がるようで、長袖が暑く感じられるくらいの陽気でした。

いつもの正門前の駐車場に車を停めて、ほっと一息。

春の風が吹いて、ざっと木々が揺れて、昨日の雨粒と黄色の葉っぱが落ちてきました。

木々のざわめき、雨粒の冷たさ。

それが、心地よく。

少し前まで、張り詰めたような寒さの風景だったような気がしますが、季節の流れは早いものです。

上知我麻神社を参拝していると、もう空はすっかりと晴れていました。

明らかに冬の空とは違う、輪郭のぼやけたような、春の空。

何かが通ったような、流れたような。

そんな雲が、見えていました。

太郎庵椿も、もう名残のころでしょうか。

凛とした寒さの中に咲いていたころを、思い出します。

そのころよりも、色は少し濃くなったような気もします。

まだ水たまりの残る境内。

からっと晴れた神社も清々しいのですが、湿気、水気が感じられる神社は、どこか艶やかでいいものです。

参道を歩いていると、何度も春の風に揺れる木々のざわめきが、聞こえてきました。

この日は、参拝される方は少なく、境内は静かな時間が流れていました。

本殿の前から、登りつつあるお日さまを眺めながら。

次に訪れるときには、この日差しが暑いくらいに感じられるころでしょうか。

そんなことを想いながら、今日もまたここへ来られたことに感謝しつつ、手を合わせてきました。

帰りの参道、春の風の織りなす木々のざわめきは、まだ続いていました。