師走の半ばも過ぎました。
何かと慌ただしくなる年の瀬も、だんだんと近づいてきました。
時候は、大雪(たいせつ)。
各地から、積雪の報も届くころになってきました。
この日も朝からずいぶんと冷え込んで、いよいよ冬本番だな、という気がする寒さでした。
七十二候では、「熊蟄穴(くまあなにこもる)」。
日に日に寒さも増し、熊も巣穴にこもり、冬眠をはじめるころです。
この「熊蟄穴」は、私の好きな時候の名の一つです。
他の時候の名は、どれも実際に見ることのできる現象を指しているものがほとんどです。
しかし、熊が巣穴にこもる姿を見ることは、実際にはないと思います。
その姿を想像して、冬の訪れを感じるという意識が、ことさらに美しく感じるものです。
駐車場に車を停めて、いつもの南門から。
ずいぶんと、日が昇るのが遅くなりました。
もうすぐ冬至、一年で一番、日が短いころなのですから、当然といえば当然なのですが。
上知我麻神社の境内の太郎庵椿が、咲いていました。
11月の末から咲くそうですが、今年もこの薄紅色を見ることができました。
淡い色が、寒い空の下でひとつ、凛としていました。
この薄紅色の椿が、とても好きです。
この小さいなかに、途方もない豊かな生命力とセクシャリティが、包まれているようで。
この太郎庵椿は、樹齢300年を超えるそうです。
悠久の時の流れのなかでも、枯れない椿。
今年も会えて、よかったです。
境内の紅葉も、紅く染まっていました。
いまがいちばん、紅い頃でしょうか。
凛とした冬の透明感のある空と、深紅の色が、とても合っているように感じます。
そういえば、今年はあまり紅葉を見る機会がなかったように思います。
この紅葉を見ることができて、よかったと思います。
境内の神鳥さまも、お元気そうでした。
元気な声で、朝の訪れを告げてくれていました。
実に、力強いその声。
境内に、響き渡っていました。
どうも、ここに訪れてその声を聞くと、いろんなことを目覚めさせてくれるようです。
境内に降り注ぐ、実に冬らしい透明感のある朝日。
今日、ここに来ることができてよかった。
心地のよい、師走の参拝になりました。