大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

理由やメリットがあるから決断するのではなく、決断するから理由やメリットがついてくる。

「決断」についての心理について、お伝えします。

私たちは何かを決めるとき、もっともらしい理由やメリットを比較して決めようとしますが、なかなかその方法だと決まらないものです。

順序が逆で、決断するからこそ、理由やメリットが後からついてくるのかもしれません。

名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。

1.次の一歩を踏みだす意思をもったとき、はじめてそのステップが見える

ほとんどの人が、自分の次のステップはいったい何なのかを知りたがり、「それがわからなければ、踏みだす気にはなれない」と考えています。

ところが本当はこうなのです。

もしそれが何なのかをあらかじめわかっていたとしたら、たとえ、そうすることがいちばんいいとわかっていたとしても、あなたはたぶん一歩も踏みださないでしょう。

 

そこであなたが進もうという意思が明らかになったとき、はじめてあなたの前に、次のステップがあらわれるのです。

そして、いざあなたが一歩前に進んでみると、ずっとよい状態になったことがわかるのです。

 

「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.336

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2.決断と理由のあとさき

今日のテーマは、非常に示唆に富んだテーマですね。

私たちが新しい一歩目を踏みだすときに、非常に参考になる見方を示してくれています。

「理性」は決断を後押ししない

私たちが、何がしかの決断をしようとするとき。

「理性」は、もっともらしい理由を提示したり、納得できそうな項目を列挙することはできますが、それが決断を

Aがいいのか、Bがいいのか。

Aのメリットとデメリット。Bのメリットとデメリット。

それぞれを比較、検証することはできるかもしれません。

総合すると、Aは82点、Bは79点、などのように。

しかし、そこで出た結論で、そのまま決断にいたれる人は、少ないのではないでそうか。

それは個人的な領域の決断であればあるほど、その傾向が強くなるように思います。

たとえば、「結婚」を例に考えてみます。

「結婚」によるメリットを頭で考えて、その決断をできる人は、少ないように思います。

多くの場合、「結婚」とは自分自身の生活環境やパートナーシップを変える決断になると思いますが、そうした決断に際しても、人はなかなか「理性」で決めることができないように思います。

不思議ですよね。

私たちが日常生活で信頼しているのは、合理的、科学的な理性や思考であるはずなのに。

「3日間の消費期限があるグラム108円の豚挽き肉」と「明日消費期限のグラム88円の豚挽き肉」なら、「今日使うなら、こっちの88円の方でいいよね」みたいに決められるのに。

「70パーセントの降水確率」なら、「一応、傘を持っていくか」と決められるのに。

それなのに、こと重要な決断になればなるほど、「理性」が後押しできる部分が少なくなる。

これは、就職や転居、あるいは物を購入するといった決断においても、同じことがいえるように思います。

今日の天気と、結婚や転居は一緒にならないでしょう、と思われるかもしれません。

では、何が違うのでしょう。

一つには、未来への不確かさ、と言えるかもしれません。

明日消費期限の豚挽き肉には、不確定要素が多くはありません。

今日中に調理してしまえばいいだけですし、調理しなければ冷凍すればいい。

今日の天気にしたって、もし傘を持って行かないなら、途中でビニール傘を買えばいい。

けれども、転居や就職は、そうはいかないわけです。

(そうはいかないと思い込んでいる、ともいえます)

私たちは、未来に不確定な変数が多いと感じるときほど、「理性」では決断できなくなるようです。

あらためて、不思議ですよね。

何かを決断するときの、私たちの心の動きというものは…

「決める」ために「決める」

じゃあ、何がそうした不確定な未来の決断のよりどころになるのか?といえば、「決めること」なのかもしれません。

は?決めるために決めるって、同じことを繰り返し言ってるだけじゃないの?と思われましたでしょうか。

「決める」ために「決める」。

それは、人が何かを決断するときの、不思議な心理です。

普通に考えると、決断をするときの私たちの心理は、「何がしかの理由やメリットがある」から「決める」という順番だと思います。

けれども、実は、その逆なんですよね。

「決める」が先にあって、決めた後で「何がしかの理由やメリット」を後付けしている、という順番。

結局、決めてから後付けで理由やメリットを探しにいくわけですから、理由やメリットが見つかるのも当然なのかもしれません。

思い当たる節はありませんでしょうか。

これを、言葉を変えると、

そこであなたが進もうという意思が明らかになったとき、はじめてあなたの前に、次のステップがあらわれるのです。

という今日の引用文のこの部分になると思うのです。

「決める」ということ、それがすべてのはじまりである、と。

3.決めないと道は現れない

まずは「決める」、すべてはそこから

まず、「決める」ということ。

頭で考えるよりも、まず肚をくくる、ということ。

これは、問題に対する方法論とマインドの関係と、非常によく似ています。

たとえば、夫婦関係を改善するアプローチや方法論は、それこそたくさんあるわけです。

しかし多くの場合、その方法論のメリットなんかを考えても、なかなか実際には動けなかったりします。

そういった場合、方法論を選ぶ前に、まず「決める」というマインドを持つことが必要になります。

いわば、「なんとしてでも、幸せなパートナーシップを築く」ということを、「決める」ということ。

そこに、肚をくくる、ということ。

腰を据えて、その問題に向き合う、ということ。

心理学的には「コミットメント」と呼んだりもしますが、そうしたマインドを持つことが、先なわけです。

そして、自分が肚をくくって決めると、不思議と方法や道が目の前に現れくるものです。

方法論とマインドのあとさき。

えてして私たちは方法論に目が行きがちですが、それは後からついてくるものです。

「決める」ということが先。

その先に何があるのか、ないのか、といった理性で判断しようとすると、なかなか決められないものです。

私たちは、決断をするときに、その結果を知りたがります。

しかし、もしもその先に、何があるのかわかっていたら、人はそれを選ばないのでしょう。

真実は、そのまったく逆のようです。

「決める」から、その先の道が現れる。

何かを決断するときに、持っておきたい視点の一つです。

松下幸之助さんの「道」

松下幸之助さんは、有名な「道」という言葉のなかで、こう語っています。

自分には自分に与えられた道がある。
天与の尊い道がある。

どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない。
自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。

「どんな道かは知らないが」という部分が、今日のテーマと非常に重なりますね。

知らないけれど、そこを歩く。

もちろん、知らない道を歩くのは、怖いものです。

私も、初見の知らない道を運転するのは怖いです笑

けれども、車にはナビがついているように、私たちにも超高性能のナビがついています。

感覚、感性、あるいは直感と呼ばれるものが、そのナビといえるのでしょう。

ただ、決断をしたり、肚をくくったりということは、なかなか一人では難しいものです。

そうしたときに、あなたの決断を応援できるカウンセリングを、これからもご提供したいと思っています。

今日は、「決断」についてお伝えしました。

何かを決める際に、ご参考になれば幸いです。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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