何かに対して肚をくくったり、強い決心をするとき、そこには選択肢が必要になります。
そして、その選択肢とは、自分の価値を見続けることでもたらされるものでもあります。
名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。
1.自分の価値を認めてはじめてコミットメントができる
私たちはいざコミットメントとなるとなかなか踏みきれず、ロングホールはとてももたないと考えてしまいがちです。
それには理由があります。
自分自身も含めて、継続して与えつづける価値のある人など、だれもいないと思っているからです。
自分の価値を認めていないので、ほかの人の価値を認めないのです。
自分の価値を認めていないと、役割や義務やルールにがんじがらめになったり、まちがった理由で「正しい」行動をしてしまいます。
ところがコミットメントによって、より大きな感応力、より真実の選択、より高い倫理のある場所へと導かれるのです。
「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.419
2.「コミットメント」の心理
今日のテーマは、「コミットメントと自分の価値の関係」でしょうか。
少し長いですね笑
「コミットメント」は、以前にも扱ったことがある大切な概念になりますので、復習がてら見直してみたいと思います。
「コミットメント」の心理とその効用
「コミットメント」は、ビジネスの場面でも使われる言葉ですね。
ビジネスだと、責任をもって約束するとか、そういったニュアンスで使われることが多いですよね。
某有名プライベートジムのプロモーションで使われる「結果にコミットする」というフレーズも、そんな意味合いがあります。
心理学においても、似たようなニュアンスです。
その問題に対して、覚悟をする、肚をくくる、決心するといったことを、「コミットメント」と呼びます。
誰でも、今までにない大きな問題や、自分が予想もしていなかった問題にぶち当たると、逃げ出したくもなるし、誰かが何とかしてくれないかなと依存的になったりもします。
けれども、そうしたネガティブな感情と向き合っていくと、どこかで肚をくくるというか、その問題が自分自身の器にぴったりとはまる瞬間が訪れます。
「これは、私自身の問題だ」
そうした状態を「コミットメント」と呼びます。
ほんとうに肚がくくれたときって、どんなに状況が最悪のように見えても、その中に微かな光を見ることができるようになります。
そして、「なんとかなるし、きっと大丈夫」と、未来を怖れるよりも信頼することができるようになります。
あるいは、ふつふつと自分のなかに湧き上がる力を、感じることもあります。
だから、カウンセリングのなかで、弱音を吐いたり、愚痴を言ったり、不安や怖れを吐露することは、決して無駄なことではないんですよね。
むしろ、そうしたネガティブな感情を感じきらないで、「コミットメント」を持つことは、なかなか難しいものです。
しかし、「コミットメント」する、肚をくくることができると、不思議とプロセスは動き始めるものです。
すると、知らず知らずのうちに、問題は形を変え始めるのです。
「コミットメント」するには選択肢が要る
さて、そうした「コミットメント」ですが、一つの重要な要素があります。
それは、選択肢を持つ、ということです。
「コミットメント」とは、自分が望む結果にこだわることではありません。
それは、執着であり、期待を生み、別の苦しみをもたらします。
パートナーとの関係をよくすることに、「コミットメント」するとしたら。
それは、パートナーを愛するために、別れを選ぶという選択肢を持つ覚悟を持つことが、「コミットメント」だといえます。
いろんな選択肢があるなかで、自分が望む選択肢を選び「続ける」こと。
それは、毎日、毎時訪れる、自分の心の波風と向き合っていくことを指します。
いったん肚がくくれたとしても、人の心は揺れ動くものです。
「やっぱり、ダメかもしれない…」
次の瞬間には、そんな想いが去来するかもしれません。
そこでもう一度、覚悟をし直すことが、求められます。
「それでも、やっぱり私はこっちを選びたい」
揺れる自分自身を受け入れ、許し、その上で、もう一度選び直す。
「コミットメント」とは、絶え間ない選択の連続ともいえるのでしょう。
3.自分の価値を見続けることが、選択肢を持つカギ
問題に対して肚をくくり、覚悟を持ち、数ある選択肢のなかから、自分が本当に望むものを選び続ける。
「コミットメント」とは、そんな決意です。
それは言い換えると、「ビジョン」を見続けること、ともいえます。
そこで大切になるのが、自分の価値を見続けることです。
ようやく、今日のテーマである、「コミットメントと自分の価値の関係」にたどり着きました笑
自分の価値を信じていないとき。
私たちは、なかなか相手に全身全霊で与えることができません。
「ほんとうに、この人でいいんだろうか…?」
そうした疑いや怖れを感じるとき、私たちはその人の価値を信じていません。
それは、自分の価値を信じていないことの裏返しであり、自分自身の無価値観を相手に映し出している、ともいえます。
「コミットメント」をし続けるためには、同時に自分の価値を見続ける必要があります。
それは、選択肢を持つという視点でも、同じです。
自分に価値を見続けるからこそ、選択肢の中から自分の望むものを選ぶことができます。
「自分に価値なんてない」と感じていたら、選択肢の中から、自分の望まないものを選んでしまいます。
「自分なんて、このくらいでいいんだよね」とか、「私には、こんな(ネガティブな)結果がふさわしい」とか。
だから、自分の価値を見続けることが、「コミットメント」のためには必要不可欠です。
だから、というわけではないのですが。
どうか、あなたの価値を、あなた自身が、認めてあげてください。
それは、何かができるとか、何かが秀でているとか、そういった認め方ではありません。
ただ、あなたがそこにいること。
そこに、存在すること。
それだけで、無限の価値があること。
それを、どうか認めてあげてください。
私のカウンセリングでは、いつもそのことをお伝えしています。
どれほど、あなたが素晴らしい価値を持っているか。
いつも、それをお伝えしたくて、カウンセリングをしています。
今日は「コミットメント」の心理と、自分の価値を認めることの関係について、お伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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