人生の目的とは、という哲学的なテーマについて、考えてみます。
あなたが今日を生きることは芸術そのものであり、だからこそ人生の目的など見つからなくてもいいし、あなたは何も変える必要もないと思うのです。
名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。
1.最大の芸術とは「自分自身」である
人の承認を得るために生きるのではなく、あなたの人生の目的を生きることによって、おのずと自分自身という芸術が生まれます。
あなた自身の目的とは、この世のすべての人のなかであなたにいちばんうまくできることなのです。
もしあなたがそれをしなければ、またもしあなたが自分の真実を生きなければ、ほかのだれにそれができるというのでしょう。
あなたが自分自身の一部を与えて、真のあなたになろうとしないかぎり、それはなされないままです。
あなたの目的は充実感をもたらしてくれます。
ところがほとんどの人は、自分の人生の目的のために生きることを怖れています。
そこで求められる「偉大さ」がこわいからです。
でも自分の目的を怖れるということは、自分自身の愛や情熱、幸せも怖れることになります。
たいていの人は自分の価値が感じられず、圧倒的ないい気持にならないようにコントロールしようとします。
それは怖れの症状であり、あなた自身の真実、ヴィジョン、偉大さからあなたを遠ざけてしまうのです。
「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.347
2.人生の目的とは
今日のテーマはまた、壮大ですねぇ…
「人生の目的」とは、それこそ人が何千年もかけて議論し、探してきたものでもありますから。
「人生の目的」と物差し
壮大な今日のテーマの足がかりにしてみたいのが、この部分です。
あなた自身の目的とは、この世のすべての人のなかであなたにいちばんうまくできることなのです。
人が生きる目的とは、この世のなかで、自分自身が最もうまくできることだといいます。
なんとなく、さらっと読めてしまうかもしれません。
しかし、注意したいことがあります。
「うまくできること」という表現に、惑わされないようにしたいのです。
「うまくできる」と聞くと、私たちはどうしても「誰かよりも」「役に立つ」「お金になる」といったことと、無意識的に結びつけてしまいがちです。
誰よりも、この業界のマーケティングについての知識がある。
他の人よりも、色彩についてのセンスを持っている。
これができるのは、人様の役に立つ。
それだけ人前で話すのが上手ければ、すぐにビジネスにできる。
…などといったように。
しかし、カンのいい方ならお分かりかと思いますが、これは突き詰めていくと、苦しいイバラの道が待っています。
もちろん、「誰かよりも優れていること」「役に立つこと」「お金になること」自体は、すばらしいことです。
しかし、それを物差しにして、「自分の生きる目的」を定義しようと思うと、とたんに生きることがラットレースのようになってしまいます。
回しても回しても、終わりのない車輪の中で走る、ラットのように。
なぜなら、そうした物差しには、終わりがないからです。
そして、「自分の目的」を定義しようとすればするほど、自分の価値を感じようとすればするほど、周りを気にして、比較をせざるを得なくなります。
しかし、世の中には必ず、自分のよりも優れた才能、知識、基準を持った人がいます。
そうした人が現れたときに、「自分の人生には、まるで意味がない」と感じてしまうかもしれません。
このように、自分の生きる目的を「(他人よりも)うまくできること」で定義しようとすると、非常に厄介なことになります。
うまくできることとは、何だろう?
さて、そうであるとするならば、なおさら引用文の「うまくできること」とは何でしょう。
私は、それは「意識しなくても」「呼吸をするように」「どうしてもしてしまう」ことと言い換えてもいいように思います。
そのことに、当の本人は「うまくできる」なんて思っていないかもしれません。
けれども、最も偉大な才能は、息を吐くように自然にできることに宿る、といいます。
そこでいわれるところの「才能」に、近いイメージです。
「才能」と聞くと、先に述べた「誰かよりも優れている」「役に立つ」「お金になる」といったイメージと重ねてしまうかもしれませんが、そうではありません。
「才能」とは、あなたらしさであり、あなたそのものが持つ光のことです。
それが誰かよりも優れているかどうか、役に立つのかどうか、お金になるかどうかは、全く「才能」の本質とは関係がありません。
ただただ、あなたがあなたでいるときに、発せられるもの。
それが「才能」であり、あなたが「うまくできること」です。
そしてそれを発揮することが、「人生の目的」であるといえます。
それを「自分らしく生きる」という言葉に、置き換えることもできるのでしょう。
うまくできることほど、うまくいかない
しかしながら、私たちの中では、「うまくできることほど、うまくいかない」と感じていることがよくあります。
なんだか、禅問答のようですね笑
これは、もう本当にカウンセリングのなかでも、よくあるテーマです。
「問題の陰に才能あり」と言われるように、人の悩みや問題の裏には、その人をその人たらしめている、唯一無二の才能が隠れています。
どうでもいいことで、人は悩みません。
カウンセリングで相談するということは、その問題がそれだけその人にとって、大切なものだということの表れです。
その問題の陰には、その人がその人であるためのアイデンティティがあります。
しかしそこに才能、ひいては光の要素がありすぎるがゆえに、そこには影ができるともいえるのでしょう。
言い換えるならば、人生を揺るがすような問題、あるいは人生をかけた問題とは、それだけに人生の目的と密接に結びついています。
それだけ、膨大なエネルギーをかけてまで、そのことで悩むのですから。
人生の目的、ひいては自分らしさを考えるときに、自分が何で悩んできたのか、あるいは心を痛めてきたのかは、非常に大切なコンパスといえます。
3.「あなたが」生きることは芸術であり、人生の目的そのもの
さて、今日のテーマに沿って、「人生の目的」についてここまで書いてきました。
なとなく、煙に巻かれたように感じる方も、いらっしゃるかもしれません笑
最後に、もう少し端的に、「人生の目的」について書いて終わりたいと思います。
「私の人生の目的とは、何ですか?」
そう聞かれたとしたら、私はこう答えます。
あなたが今日、この瞬間に生きていること。
ただ、それだけです。
あなたが朝、目を覚ますこと。
一杯のコーヒーを口に含むこと。
見上げた空に、誰かを想うこと。
誰かと、言葉を交わすこと。
ただ、そこにいること。
それだけでは、ありません。
悩むこと、
愛すること、
悲しむこと、
歌うこと、
歩くこと、
感動すること、
描くこと、
味わうこと、
躍ること、
祈ること、
呼吸すること…
そのすべてが、そのいずれもが、あなたの人生の目的です。
今日、あなたが生きることが、芸術そのものです。
それ以上に、人生の目的など見つからなくてもいいんです。
そういっても、ざわざわと心が騒ぐかもしれません。
けれども、あなたは何も変わらなくてもいいし、変える必要もありません。
今日、いま、あなたがそこにいること以上の芸術など、どこを探してもありません。
受けとろうが、受けとるまいが。
あなたが生きることの偉大さは、そこにあり続けます。
私は、ただただ、それをお伝えし続けるだけです。
今日は、少し壮大なテーマになりました。
こうした抽象的なイメージは、本当に表現することが難しいものですが、お楽しみいただけましたら幸いです。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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