大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「判断(ジャッジメント)」をしてしまう心理には、傷ついた私が隠れている。

自分の持っている基準や常識、観念といったもので、人やできごとを裁いてしまうことを、「判断(ジャッジ)」と呼びます。

「判断」の根元にある罪悪感と、「判断」をしてしまう心の層について、お伝えします。

名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。

1.人に対する裁きは、自分自身への裁き

何かについて罪の意識を感じていなければ、人を裁くことはありません。

ただ誤りが起きたと思うだけで、自分が手を貸せば簡単に訂正できることがわかります。

 

けれども自分の誤りや、抑圧してしまった過去の失敗に罪の意識を感じていると、その罪悪感は人への判断となってあらわれます。

そうすると罪悪感も、人を裁いたことも、そのままずっとあなたのなかに積もりつづけます。

 

ただし潜在意識のなかに隠れている罪悪感をすべて探しださなくても、許しによって、パートナーやあなたが裁いた人を解き放つことができます。

すると、その人を無実に帰すだけではなく、あなたもまた無実に帰るのです。

あなたや彼らがしたことは、「罪」ではありません。

ただの「誤り」なのです。

私たちがそれを「罪」と呼ぶことにとらわれてしまうのは、それが許しがたく、まず訂正不可能に見えるからです。

でも実際は、意識のなかではどんなことも変わりうるのです。

誤りやまちがいは、訂正することができるのです。

 

しかし、何かを罪だと決めつけてしまうと、その考えが頭にこびりついて、意識のなかでくりかえし何度もそこに戻ってしまい、やがては罪悪感を心の奥底にうめこんで、他人にそれを投影してしまうのです。

 

「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.133

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2.「判断(ジャッジメント)」の心理

今日のテーマは「判断」、あるいは「ジャッジメント」でしょうか。

誰しもがしてしまう心理ですが、それが現れる原因と、対処法について書いてみたいと思います。

罪悪感は、他人への判断となってあらわれる

「判断(ジャッジメント)」とは、その字の通り、自分の持っている基準や常識、観念といったもので、人やできごとを判断(ジャッジ)してしまう心理です。

「あの人は、冷たい人だ」
「メールの返信は24時間以内にするべきだ」
「気圧の低い日は、体調が悪い」

…などなど、小さなものから大きなものまで、実にさまざまな「判断」をしているのが、私たちなのでしょう。

「判断」は、一度下してしまうと、なかなかそのフィルターを解くことが難しいものです。

引用文でも「そのままずっとあなたのなかに積もりつづけます」と書かれていますが、まさにその通りですよね。

「この人は、こういう人だ」

という「判断」やレッテルを貼ってしまうと、楽ですよね。

いちいち、その人を注視したり、考えたりしなくていいのですから。

しかしその楽な反面、なかなか「その人そのもの」を見ることは難しくなります。

そうすると、その人とのコミュニケーションに影響を及ぼし、関係性が硬直化してしまいます。

それが、「判断」による悪い影響といえます。

さて、そうした「判断」をしてしまうことの根源には、罪悪感があると本書は言っています。

自分の誤りや、抑圧してしまった過去の失敗に罪の意識を感じていると、その罪悪感は人への判断となってあらわれます。

いやぁ、ほんと、問題のデパートといった感じですよね、罪悪感というのは…

自分が罪悪感を感じていることを、心の奥底にうめこんでしまう。

すると、それを自分の周りに投影しだす。

あの人は、「罪」を持った人だ、と。

それが、「判断」のからくりのようです。

心の層は、バウムクーヘンのように

さて、そのからくりを見た上で、なのですが。

何をもって「罪」とするかの「判断」が、最初にあります

これが、罪悪感をつくっているとも言えます。

人の心は、バウムクーヘンのように、いろんな層が重なってできていると、よく言われます。

一層目:いい人の私

一番見えやすい層としては、「いい人」の私がいます。

よそ行きの服を着ている、外向きの私、とも言えるでしょうか。

他人に嫌われないように、迷惑をかけないように、振る舞う私です。

面接や初対面の方とお話しするときをイメージすると、分かりやすいでしょうか。

しかし、その自分はある意味で借りものの自分のため、その私でずっといると、疲れてきます。

二層目:悪い人の私

その次の層としては、「悪い人」の私が出てきます。

一層目の「いい人」の私とは、反対の私。

悪態をついたり、無愛想だったり、ズボラだったり、だらしなかったり。

この悪くてダメな私を出すと、周りに嫌われてしまうから、封印しないといけない私。
決して外に出してはいけない私。

誰にでも、外に出してはいけない自分があると思います。

しかし、なぜ、その自分を外に出してはいけないのでしょうか。

それを考えると、次の層が出てきます。

三層目:いい/悪いを判断する私

三層目には、いい/悪いを「判断する私」がいます。

「いい」「悪い」を判断して、一層目と二層目に振り分ける私がその層にいます。

時間にルーズなのはいけない。
人前で怒ってはいけない。笑顔でないといけない。
人に弱音を吐いたりしてはいけない。
他人に助けを求めてはいけない。
わがままを言って周りを困らせてはいけない。

まさに、今日のテーマの「判断、ジャッジ」をしている心の層です。

その判断基準は、人それぞれだと思います。

何をもってダメとするかや、その判断の強度は、その人それぞれです。

しかし、その判断基準はどこから持ってきたものなのでしょうか。

それを考えていくと、四層目にたどり着きます。

四層目:傷ついた私

いい/悪いの判断をする根本には、「傷ついた私」がいます。

痛みの層、といえるでしょうか。

判断基準のもとになるのは、過去の傷ついた経験が大きな影響を与えます。

お父さんが時間に厳しく、いつも叱られてきた。
いつも家でお母さんが怒っていて、悲しかった。笑っていてほしかった。
信頼していた恋人に弱音を吐露したら、受け止めてもらえなかった。
思い切って友人に助けを求めたが、助けてくれなかった。
親に欲しいものを伝えたが、わがままだと怒られて与えてもらえなかった。

多くの人にとって、この四層目と向き合うのは、非常に怖いものです。

それを感じるのが怖くて、「判断」をしたり、ジャッジしたりして、自分を守ってきたのですから。

 

「判断」のテーマから、少しずれてしまったかもしれません。

けれど、「判断」のもとにあるのは、「罪」の意識があり、それは過去の傷や痛みによって形づくられるもの、とだけ覚えて頂ければいいかと思います。

3.「許し」は万能なり

「罪」と「誤り」

引用文では、「罪」は「誤り」として考えるよう、すすめています。

あなたや彼らがしたことは、「罪」ではありません。

ただの「誤り」なのです。

「罪」ならば、罰を受けたり、償わなくてはなりません。

しかし、「誤り」であれば、それを訂正すればいい

「誤り」は、誰しもがするものでしょうから。

なぜ、それを「罪」として見てしまうのかといえば、それがもう取り返しがつかないことだと感じているからなのでしょう。

それは、「自分がこれだけ傷ついたんだから、もう治らない、癒せない」と思っていることの、投影でもあります。

それは、真実でしょうか。

そうではないように、私は思います。

「許し」と、心の五層目

引用文では、こう書かれています。

ただし潜在意識のなかに隠れている罪悪感をすべて探しださなくても、許しによって、パートナーやあなたが裁いた人を解き放つことができます。

これまで何度も出てきている「許し」ですが、その万能さには、驚くばかりです。

ラストエリクサーのような…そんな万能薬のようです笑

そんなすごい癒しの力が、人間の心には宿っているようです。

それは決して特別なことではなく、誰の心にも、同じように宿っているものです

先ほど、バウムクーヘンのような心の層を見ました。

四層目に、「傷ついた自分、痛みの層」がありました。

その傷や痛みと向き合うと、そのさらに奥にあるのが、許しの層といえます。

五層目:愛、才能、許しの層

「判断」のもとになった、過去の痛み。

その痛みが起こった状況を、感情的に理解し、愛の視点で眺めることができる層です。

お父さんが私を叱ってきたのは、愛情の裏返しかもしれない。
お母さんもきっと深く傷ついていた。きっと私の前では笑っていたかっただろうに。
あのとき恋人の方が弱音を吐きたい心境だったのかもしれない。
もしかしたら、友人は別の形で手を差し伸べてくれていたのかもしれない。
子どもが望むものを与えられない親も、葛藤して苦しんでいただろう。

ほのかにあたたかな、愛に満ちあふれた層。

その層に一度でも触れると、「判断」の基準が緩みます。

「判断」が緩むと、それはめぐりめぐって、自分に対しても還ってきます。

具体的には、一層目の「いい人」を必要以上にしなくてもよくなります。

肩の力を抜いて、楽に生きられるようになります。

それが、「許し」の効用であり、「癒し」と呼ばれるものなのでしょう。

 

今日は、「判断(ジャッジ)」の心理から、心の層と、許しについてみてみました。

少し詰め込み過ぎた感もありますが、ご参考になりましたらうれしく思います。

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