アイデンティティが一貫していることは、いいことのように思われますが、時にそれは自分の可能性を狭める「呪い」となりえます。
その可能性を広げてくれるのは、実は自分にとっての「問題」であったりします。
1.強い自我は、そうでないものを遠ざける
日本の文化の一つとして、「一貫性を重んじる」という特徴があります。
「初志貫徹」という言葉は、十中八九、「いいこと」のような印象を与えますよね。
「君子は豹変す」という、反対になるような言葉よりも、よほどいい印象を与えるように思います。
一つのことを極めていく職人気質の生き方は、かっこよく映るものです。
はい、私もそんな生き方に憧れますが、なかなか現実はそうもいかないものです笑
この「一貫性を重んじる」ことは、自分自身のアイデンティティを考える場面では、少し厄介なことになる場合があります。
アイデンティティの一貫性、あるいは強すぎる自我は、時に自分の可能性を狭める「呪い」になりえます。
先日、「『愛すること』の定義が、自分を縛ることもある」という記事を書きましたが、そのテーマと近しいものです。
自分にとっての「愛すること」という定義が強ければ強いほど、「そうでないこと」を「愛」として受け取ることが難しくなる、というテーマでした。
何かを定義することは、それと同時に「そうではないこと」を決めてしまうことと、同じことだからです。
同じように、強すぎる自我は、自分の可能性を狭めてしまう可能性があります。
「私はこういう人間」という自我が強すぎると、時にそれは「呪い」になってしまうことがあります。
2.「呪い」とは、可能性を制限するもの
「呪い」というとおどろおどろしい言葉に聞こえますが、ここでいう「呪い」とは、「可能性を制限するもの」というほどの意味です。
その人の可能性を制限するもの。
多くの場合、それは「〇〇してはいけない」という禁止命題であったり、ネガティブな言葉が含まれるものです。
言葉というのは、私たちの想像以上に大きな力を持っています。
そうした「呪い」の言葉に、私たちの思考や行動は、非常に制限されます。
やりたいことや、したいことがあっても、自分自身にかけた「呪い」によって、それができなくなったりするわけです。
その反対が、「祝い」や「祝福」であり、その人の可能性を広げるものですね。
その「呪い」とは、アイデンティティの一貫性であったり、強すぎる自我からまれることがあるのです。
「私は、こういう人間だ」
という自我は、そのイメージにそぐわない行動を制限します。
「私は地味な人間だ」
という自我を持てば持つほど、「私は派手な、人目を引く人間ではない」という「呪い」をかけることになります。
「私はまじめな人だ」
というアイデンティティが強ければ、「私はいい加減な、手を抜く人間ではない」という「呪い」をかけているといえます。
それがいいことか悪いことは別として、その「呪い」は自分の可能性を制限してしまいます。
それが、生きづらさだったり、心の苦しさの原因となることもあります。
3.可能性を広げるのは「問題」である
「じゃあ、自分の可能性を広げればいいのか」
と思われるかもしれませんが、それもなかなか簡単なことではありません。
いままでの自分を支えてきてくれた自我を、自分から崩すなんて、ものすごく怖いものです。
では、どんなときに自分の可能性を広げることができるのか。
答えは、いまの自分にはどうしようもないと感じる「問題」に出会ったときです。
はい、イヤですねぇ、「問題」に出会ったときなんて…笑
けれども、私たちが生きる中で出会う「問題」とは、いまの自分では解決できないものです。
その「問題」は、人によって異なります。
それが、パートナーシップの問題である場合もあるでしょう。
経済的な、お金の問題として現れることもあるでしょう。
子育てのなかで出てくることもあるでしょう。
それを「問題」と感じるのは、いまの自分の自我やアイデンティティでは受け止められないからです。
しかしその「問題」は、自分自身の可能性を広げてくれるものもあります。
いままで封印してきた自分を、見せてくれたりするものです。
だからこそ、カウンセリングのなかでいろんな「問題」を伺いますが、その「問題」から見える、その方の可能性や価値とは、なんだろう?といつも私は考えます。
もちろん、その「問題」でしんどかったり、辛かったりすることを和らげることも大切なことです。
しかし、その「問題」が見せてくれている、その方の可能性とはなんだろう?という見方を持ち続けたいと思っています。
今日は、自分の可能性を縛る「呪い」と、その可能性を広げる「問題」というテーマでお伝えしました。
今日も、ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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