大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

時には、昔の話を。 ~雨に濡れる赤い旗の記憶

早いもので、私の住んでいる東海地方が梅雨入りしたようです。

5月の梅雨入りというと、かなり早い気がしますが、週間天気を見ると青い傘のマークばかりが並んでいます。

それにしても、風薫る気持ちのいい季節になったと思ったら、もう梅雨入りとは。

なんだか惜しい気もしますが、好きな夏が近づいてくると思うことにした方がいいのでしょう。

新緑、薫風の季節から、雨の季節へ。

季節は、日々移り変わっていくようです。

 

雨の季節。

雨が続くと外で遊べない、と息子がぼやいていました。

そうえいば私も、小学生のころを思い出してみると、放課の楽しみといえば校庭でのドッジボールばかりだったように思います。

とかく運動神経の鈍かった私は、当てられ役ばかりでしたが笑

ただ、雨が降って校庭のコンディションが悪くなると、校庭が使用禁止になったりするものでした。

使用禁止の目印として、私の小学校では朝礼台に赤い旗を立てていました。

活発な小学生男子にとって、その「赤い旗」は蛇蝎のように嫌われていました。

「うわ、全然使えるのに、赤旗かよ」

そんな会話を、していたものでした。

私はといえば、雨の日がそれほど嫌いではありませんでした。

まあ、運動神経がよくなかったので、ということは多分にあったのでしょう。

足が速く、速いボールを投げられる同級生に憧れ、嫉妬したものです。

雨が降ることに、あまりネガティブな感情はなかったように思います。

 

しとしとと降る雨に濡れる、校庭の赤い旗。

それを、教室の窓から眺めている私がいました。

あの赤い旗が、早くなくなればいいのに。

みんなからそんな視線で見られていたその旗は、雨に濡れてどこか寂しそうにも見えました。

それは、私の心の寂しさを映し出していたのでしょうか。

雨は、決して嫌いではないのですが。

どこか、人を感傷的にさせるようです。

雨が降れば、雨を見てもの思いに耽る。

それもまた、季節を愛でる、ということの一部なのかもしれません。