大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

夜の雨に、蛍を想うころ。

梅雨らしく、雨が降ったりやんだりの天気が続いています。

私の住んでいるところでは、昨日の夜はかなり強く降ったようで、何度か雨の音で目が覚めました。

夜の雨の音というのは、どこか不思議ですよね。

物音が少ないせいか、その雨の音だけに意識が向くようで、うつらうつらとしながら、夢うつつのようにぼんやりとしていました。

七十二侯では、「腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)」の時候。

蒸れて腐りかけたような草が、蛍になったように見える。

そんな情景が浮かぶ、実に美しい時候の名です。

私の大好きな時候の名前の一つでもあります。

そして、この雨の続く梅雨のなかで、もうすぐ夏至を迎えるようです。

陰極まりて、陽と成す。

陽極まりて、陰と成す。

これまで昼間の時間がどんどんと伸びて、生命力のあふれる季節でしたが、夏至を境に少しずつ夜の時間が長くなっていきます。

そう考えると、いまが最も夏の前の生命力に満ちあふれた時期なのかもしれません。

そして、そのような時期が、梅雨のさなかに訪れるというのが、またどこか風情があるように感じるのです。

夏本番は、まだ先。

けれども、見えづらいところで、変化は少しずつ始まっているようです。

目に見える事象は、変わらないかもしれないのですか。

見えないところで、変化ははじまっているのかもしれません。

とはいえ、私たちにできるのは、日々、自分自身ができることをすることだけのようにも思います。

結局のところ、できることしかできないわけですしね。

それは、いまこの時間に意識を向け、季節の移ろいを味わうことでもあるのでしょう。

雨の音に、しばし蛍の姿を想う時間を持ちたいと思うのです。