今日は、感情を感じることのできる強さについて、お伝えします。
私たちはしんどいことや、悲しいことがあったときに、それを乗り越えることが強さだと思いがちです。
しかし、そうした感情を感じることができることが強さであり、それを無視すると余計にしんどくなってしまうことがあります。
1.心の強い人とは、どんな人だろう
心の強い人、という表現があります。
どんな人が、「心が強い人」と感じるでしょうか。
苦難にも負けずに、前を向くことができる人。
どんな困難も、乗り越えていくことができる人。
弱さを見せず、皆を引っ張っていくことができる人。
そんなイメージが「心の強い人」と思われるかもしれません。
考えてみれば、「強さ」とは「弱さ」の反対ですから、それも当然なのかもしれません。
もちろん、それが「心の強い人」の一つの現れであることは、そうなのでしょう。
映画やドラマでも、そうして前を向いていく人の姿を見て、勇気づけられることも多いものです。
しかし、いつもそうできるわけではない、とも思うのです。
なんたって、私たちは生身の人間なのですから。
機械やAIとは違い、常に同じ反応をしたり、常に学び続けたり、正しい答えを出し続けることはできないものです。
身体にしたって、そうですよね。
清々しいと感じる朝もあれば、頭痛がする日もある。
風邪を引いてしまった日もあれば、お腹の調子がよくないと感じる日だってあるのでしょう。
そんな日に、無理をしたりすると、ますますひどく体調を崩してしまったりします。
心も、同じなのかもしれません。
いえ、身体のように、体温や心拍数といったもので見えにくい分、心の方が見えづらいともいえます。
2.乗り越えているのか、それとも無視しているだけなのか
先に挙げた、困難や苦難、あるいは悲しみや寂しさを、乗り越えることができる人。
それは、「心が強い人」といえると思うのですが、一つ注意しないといけないのは、「乗り越えている」ことと、「無視している」のは、表面上は同じに見えることです。
とても、悲しいことがあったとき。
どうしようもなく、寂しいと感じたとき。
そんなとき、「そんなこと言うてもあかん」と、そうした悲しさや寂しさを無視したり、抑圧したりしてしまうことがあります。
「そんなものは、最初から無かった」ことにしてしまうわけです。
これは、強さではありません。
もちろん、強くないからいけない、といっているわけではありません。
あまり悲しかったり、あまりに寂しかったりするような、それだけのことがあったのでしょうから。
私自身も、肉親を亡くしてから、ずいぶんと悲しみや寂しさを抑圧していきました。
あまりに悲し過ぎて、それを受け止めるだけの器が、私にはなかったのかもしれません。
そうした悲しみや寂しさを無視して、強くあろうとしてきました。
しかし、そうするとますます、悲しみや寂しさを感じざるをえないできごとが、起こるものです。
まあ、世の中うまくできているなぁ、と笑
実際に、そうした悲しみや寂しさを、私が感じられるようになったのは、悲しいできごとがあってから15年近くも経って、カウンセリングと出会ってからでした。
それまでの時間が無駄だったとも思わないですが、ただ、それは強さではなかったのかな、とは思います。
そうした悲しみや、寂しさを、無視していただけなのかな、と。
ただ、何度も言うようですが、そうすることが悪いことでも何でもありません。
ただ、そうせざるを得なかった、というだけのように思います。
3.嘆き悲しみ、寂しいと言える強さを
本当に強い人とは、自分の悲しみや寂しさと、向き合うことのできる人のように思います。
傷つかない人が、強い人ではないと思います。
たくさん傷ついて、その傷と痛みに向き合ってきた人。
悲しいときには悲しいと、寂しいときには寂しいと、言える人。
その痛みに耐え、ときに周りに助けを求めることができる人。
そうした人が、心の強い人ではないかと思うのです。
痛みに慣れることは、ないのかもしれません。
心が強くなると、傷つかなくなるわけではありません。
そうではなくて、ただその悲しみや寂しさを、感じられることが、心の強さといえます。
悲しいときは、悲しいでいいんです。
寂しいときは、寂しいでいいんです。
前を向くことが出来る姿というのは、あくまでその先にある結果にすぎません。
無理に、最初から、そこにいたろうとしなくていいと思うのです。
もちろん、結果的にそうすることができたときに、自分以外の周りの人をいたわったり、勇気を与えたりすることができるようになるかもしれません。
けれども、最初からそうでなくてはいけない、としなくてもいいんです。
無理にそうなろうとすると、自分のなかの悲しみや寂しさといったものを、無視することになってしまいます。
悲しいときは、悲しむ。寂しいときは、寂しいと感じる。
まずは、それでいいんだと思うのです。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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