大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「心の強さ」とは、悲しいときに悲しむことができること。

今日は、感情を感じることのできる強さについて、お伝えします。

私たちはしんどいことや、悲しいことがあったときに、それを乗り越えることが強さだと思いがちです。

しかし、そうした感情を感じることができることが強さであり、それを無視すると余計にしんどくなってしまうことがあります。

1.心の強い人とは、どんな人だろう

心の強い人、という表現があります。

どんな人が、「心が強い人」と感じるでしょうか。

苦難にも負けずに、前を向くことができる人。

どんな困難も、乗り越えていくことができる人。

弱さを見せず、皆を引っ張っていくことができる人。

そんなイメージが「心の強い人」と思われるかもしれません。

考えてみれば、「強さ」とは「弱さ」の反対ですから、それも当然なのかもしれません。

もちろん、それが「心の強い人」の一つの現れであることは、そうなのでしょう。

映画やドラマでも、そうして前を向いていく人の姿を見て、勇気づけられることも多いものです。

しかし、いつもそうできるわけではない、とも思うのです。

なんたって、私たちは生身の人間なのですから。

機械やAIとは違い、常に同じ反応をしたり、常に学び続けたり、正しい答えを出し続けることはできないものです。

身体にしたって、そうですよね。

清々しいと感じる朝もあれば、頭痛がする日もある。

風邪を引いてしまった日もあれば、お腹の調子がよくないと感じる日だってあるのでしょう。

そんな日に、無理をしたりすると、ますますひどく体調を崩してしまったりします。

心も、同じなのかもしれません。

いえ、身体のように、体温や心拍数といったもので見えにくい分、心の方が見えづらいともいえます。

2.乗り越えているのか、それとも無視しているだけなのか

先に挙げた、困難や苦難、あるいは悲しみや寂しさを、乗り越えることができる人。

それは、「心が強い人」といえると思うのですが、一つ注意しないといけないのは、「乗り越えている」ことと、「無視している」のは、表面上は同じに見えることです。

とても、悲しいことがあったとき。

どうしようもなく、寂しいと感じたとき。

そんなとき、「そんなこと言うてもあかん」と、そうした悲しさや寂しさを無視したり、抑圧したりしてしまうことがあります。

「そんなものは、最初から無かった」ことにしてしまうわけです。

これは、強さではありません。

もちろん、強くないからいけない、といっているわけではありません。

あまり悲しかったり、あまりに寂しかったりするような、それだけのことがあったのでしょうから。

私自身も、肉親を亡くしてから、ずいぶんと悲しみや寂しさを抑圧していきました。

あまりに悲し過ぎて、それを受け止めるだけの器が、私にはなかったのかもしれません。

そうした悲しみや寂しさを無視して、強くあろうとしてきました。

しかし、そうするとますます、悲しみや寂しさを感じざるをえないできごとが、起こるものです。

まあ、世の中うまくできているなぁ、と笑

実際に、そうした悲しみや寂しさを、私が感じられるようになったのは、悲しいできごとがあってから15年近くも経って、カウンセリングと出会ってからでした。

それまでの時間が無駄だったとも思わないですが、ただ、それは強さではなかったのかな、とは思います。

そうした悲しみや、寂しさを、無視していただけなのかな、と。

ただ、何度も言うようですが、そうすることが悪いことでも何でもありません。

ただ、そうせざるを得なかった、というだけのように思います。

3.嘆き悲しみ、寂しいと言える強さを

本当に強い人とは、自分の悲しみや寂しさと、向き合うことのできる人のように思います。

傷つかない人が、強い人ではないと思います。

たくさん傷ついて、その傷と痛みに向き合ってきた人。

悲しいときには悲しいと、寂しいときには寂しいと、言える人。

その痛みに耐え、ときに周りに助けを求めることができる人。

そうした人が、心の強い人ではないかと思うのです。

痛みに慣れることは、ないのかもしれません。

心が強くなると、傷つかなくなるわけではありません。

そうではなくて、ただその悲しみや寂しさを、感じられることが、心の強さといえます。

悲しいときは、悲しいでいいんです。

寂しいときは、寂しいでいいんです。

前を向くことが出来る姿というのは、あくまでその先にある結果にすぎません。

無理に、最初から、そこにいたろうとしなくていいと思うのです。

もちろん、結果的にそうすることができたときに、自分以外の周りの人をいたわったり、勇気を与えたりすることができるようになるかもしれません。

けれども、最初からそうでなくてはいけない、としなくてもいいんです。

無理にそうなろうとすると、自分のなかの悲しみや寂しさといったものを、無視することになってしまいます。

悲しいときは、悲しむ。寂しいときは、寂しいと感じる。

まずは、それでいいんだと思うのです。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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