何かを決めるために必要なのは、剛直さではなく、軽やかさであり、しなやかさです。
私がお酒を手放したときの体験から、そんなことをお伝えします。
1.執着を手放すためには
昨日の記事では、「決める」ために必要なのは、強固な意志よりもしなやかさ、というテーマでお伝えしました。
「手放す」ために必要なのは、強固な意志というよりは、柳のようなしなやかさ。 - 大嵜直人のブログ
決める、決断することを、心理学では「コミットメント」と呼んだりします。
肚をくくる、決断する、覚悟をきめる、といったニュアンスですね。
「手放し」にしてもそうなのですが、この「コミットメント」を持つことが、まず最初の大切なステップになります。
決断する、覚悟するとか聞くと、断固たる意志というか、何ものにも揺れない強固な意志が必要に感じるものです。
しかし実際には、そうではないんですよね。
何かを決めるとき、必要なのは強い意志というよりも、柳のようなしなやかさだったりします。
「これしかない」「これ以外はダメ」という心理は、執着です。
執着していると、人はとても不自由になります。
なんたって、それ以外に選択肢が無いわけですから。
「コミットメント」にしてもそうなのですが、常に選択肢が「ある」中で、それを選び続けるということが必要です。
選んでもいい。選ばなくてもいい。
そのなかで選び続けることが、「コミットメント」であり、決めることなのでしょう。
そこでは、強固な意志というよりは、柳のようなしなやかさ、軽さこそが求められるものなのでしょう。
2.お酒を手放したときのこと
さて、この「決める」ことと「しなやかさ」「軽やかさ」の関係について、私の実体験を今日は少しお伝えしてみたいと思います。
それは、お酒を「手放す」と決めたときのことです。
以前、私はお酒をよく飲んでおりました。
お酒が好きな人って、二通りに分かれると思います。
一つは、お酒そのものの味や、美味しい食事とお酒を楽しむことが好きな人。
こちらのタイプの人は、お酒の味、銘柄、飲み方といったものにこだわるものです。
もう一つは、お酒のつくる場や雰囲気が、好きな人。
いわゆる「飲み会」が好きな人と表現できるでしょうか。
このタイプの人は、お酒の味にはこだわないことが多く、なんなら「酔えればいい」と思っている方も多いものです。
もちろん、それはすっぱりと分かれるものではありませんし、6:4とか、7:3みたいな割合にはなるのでしょう。
私はというと、後者の割合が大きかったように思います。
寂しさというか、そういったものを解消するために、お酒で酔っていました。
だから、どうしても飲みすぎるし、翌日にダメージが残ることもしばしばでした。
しかし、心理学に出会い、自分の内面と向き合っていくうちに、少しずつ寂しさを癒していくことができました。
寂しさが、なくなるわけではありません。
ただ、その寂しさと向き合うのに、必ずしもお酒で酔う必要がなくなってきた、という感じだったでしょうか。
少しずつ、お酒で酔いつぶれることに、違和感を覚え始めたりもしました。
でも、相変わらず、よく飲んでいました。
3.ふとしたときに訪れる小さな声に、耳を傾ける
けれど、あるとき、ふと、「お酒をやめてみよう」と思ったのです。
それは、とても小さな声でした。
晩秋の、霧のような雨が降る肌寒い日曜日だったと思います。
息子と近所の川に棲むカメに、パンをあげに行ったときのことでした。
ぽいぽいとカメにパンを投げる息子を、ぼんやりと眺めているときに、「お酒をやめてみたら」という声を聞いたのです。
特段、強固な意志があったわけではありません。
ただ、「やってみたら、どうなるだろう」という軽やかさと、「ダメだったらそのとき考えよう」というしなやかさでもって、私はお酒を手放しました。
そんな形で始めた断酒ですが、思いのほか長続きしました。
あの小さな声を聞いた日から、もう5年以上は経っているでしょうか。
お祝いの席や、ハレの場なんかでは、少し口にすることはありましたが、それ以外はほぼ飲んでいません。
お酒を手放したことは、実にさまざまな恩恵を私に与えてくれました。
一番素晴らしかったのは、寝起きの爽快さでしょうか笑
それはともかくとして、何かを手放すと決めるときって、そんな感じなのかもしれません。
強固な意志をもってするよりも、ふわっとした軽やかさと、しなやかさの方が、決めるためには大切。
そして、その軽やかさとしなやかさをもたらしてくれるのは、ふとしたときに訪れる、小さな声なのかもしれません。
内なる自分から聞こえる、小さな声。
それを、聞き逃さないようにしたいものです。
そのためには、「手放し」のステップでもご紹介しましたが、自分の感情を解放し、癒しておくことが大切なのでしょう。
今日は、決断に必要な軽やかさとしなやかさ、というテーマにしてお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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