大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「手放す」と決めるのは自分自身だが、そのプロセスは自分一人で歩かなくてもいい。

何かに執着してしまうとき、それを「手放す」と決めるのは自分自身です。

ただ、その手放しのプロセスは、自分一人であるかなくても大丈夫なんです。

1.「手放し」の恩恵

昨日の記事では、「手放し」の恩恵についてお伝えしました。

「手放し」の恩恵は、過去を過去として区別して、いまに意識を向けることができること。 - 大嵜直人のブログ

ここのところ「手放し」をテーマにしております。

心が何かに執着しているとき、私たちは生きづらさや閉塞感を感じます。

どこにも行けず、何も進まないような、そんな感じでしょうか。

別れた相手を忘れられない。

どうしてもお金の問題が頭を離れない。

仕事の失敗を引きずってしまう。

いろんなできごとや相手に、私たちの心は執着してしまうものです。

そうした執着から自由になることを、「手放し」と呼びます。

ぎゅっと握りしめていた手を、そっとやさしく開くことで、新しいものをつかめるようにするイメージです。

決して、「もう、こんなものいらん!」とか、「自分の人生のなかでなかったことにする」とか、乱暴に切り離すことではありません。

相手の幸せを祈りながら、そのできごとに感謝しながら、自分の新しい選択を祝福していく、そんな心のありようを指します。

「手放し」は、私たちに大きな恩恵を与えてくれます。

その一つに、相手やできごととの関係性を、過去のものにしてくれる、という恩恵があります。

執着しているとき、私たちの意識は過去に向いています。

そうすると、なかなかいま現在、目の前にある幸せに気づかなかったり、差し出された愛を受けとれなかったりします。

さしずめ、富士山の頂上でご来光が見えているのに、その絶景を見ずに、先週の仕事の失敗を思い出して悶々と地面ばかり見ている感じでしょうか。

「そんな人、いるわけないじゃん」と思われるかもしれませんが、似たようなことは、とっても多いのではないでしょうか。

「手放し」は、過去を過去とすることで、現在と区別するという恩恵を与えてくれるものです。

2.執着してしまう心理

執着の心理

「手放し」は、自分自身を執着から解放すること。

今日は、その執着について、少し見ていきたいと思います。

約2500年前に、お釈迦さまも「執着はあかん。苦しみを生むから、捨て去りなさい」と仰られているわけですから、人が何かに執着してしまうのは、今も昔も変わらないようです。

そう思うと、私もあなたも、何かに執着してしまうのは、ある意味でしょうがないのかもしれません笑

それはともかくとして、心理学的に見たときの執着とは、ある対象に心がとらわれている状態を指します。

それによって、選択肢が無い(と感じる)のが、苦しいんですよね。

毎日毎食、同じサバの味噌煮定食しか選べなかったら、しんどいですから。

いや、サバの味噌煮は美味しいんですが、「それ以外の選択肢が無い」のは、さすがに辛いですよね。

世の中には、他にも美味しいものがたくさんあります。

けれども、それに目がいかず、選べなくなってしまっているのが、執着している状態です。

重要なのは、「自分が」「一方的に」している、という点でしょうか。

だって、サバの味噌煮定食に、何の罪もありませんから笑

ただ、自分が一方的にするものが、執着の特徴です。

このあたり、よく似た言葉で「癒着」がありますが、こちらは自分と相手の心理が近づきすぎて境界線がなくなってしまう状態であり、自分と相手の二人でするもの、という違いがあります。

執着してしまう原因

さて、なぜ執着してしまうかといえば、やはり自己価値、自己肯定感というところが大きいものです。

「結局、それかい!」と思われるかもしれませんが、やはりそうなんです。

自分に価値が無いと思っていると、あるいは自分に自信がない状態だと、「自分にはこれしかない」と思ってしまいます。

たとえば、ほんとうは身長が150cmあるのに、「私は100cmしかない」と思っている人がいたとしたら。

130cm以上の人しか乗れないジェットコースターには、乗ろうと思わないですよね。

まあ、実際にはそんなことはあり得ませんが笑

ただ、心の世界では、そうしたことが往々にして起きるものです。

「私のような人間を愛してくれるのは、あの人しかいない」

「自分を雇ってくれるのは、この会社しかない」

といったように。

自己価値、自己肯定感が低いと、執着してしまうことが多いものです。

3.手放すことは自分で決めることができる

このように、執着の心理と、自己価値や自己肯定感には、非常に深い関係があります。

ここだけ聞くと、「自己価値が低いから、執着してしまうんだ」と感じてしまうかもしれませんが、少し違う見方をしてみてほしいのです。

それは、執着を手放すことは、自分自身で決めることができる、という見方です。

自己価値や自己肯定感とは、言ってみれば自分自身の問題です。

それは、誰かに許可をもらったりしなくても、いいんです。

ただ、自分が「よし、手放そう」と決めることが、何よりも大切なことです。

冒頭で「手放し」の恩恵をお伝えしましたが、もしそうした恩恵を受けたいと感じるのであれば、自分でそれを決めることができます。

手放すことは、自分自身で決めることができる。

これが、何よりも大切なポイントであり、今日一番お伝えしたいことです。

それは、相手の言動や動向、あるいは起こったできごとがどうのこうの、とは関係がありません。

ただ、自分が執着を「手放す」と決めることが、何よりも大切なことです。

そして、それを決めるのは自分にしかできませんが、「手放す」ことは、自分一人だけでやろうとしなくてもいいんです。

「手放し」のプロセスは、自分一人で歩かなくてもいい、という表現の方がいいでしょうか。

「手放そう」と決めたら、自分だけの力でやろうとしなくてもいいんです。

信頼できる仲間や友人、あるいはカウンセラーなんかの力を借りて、「手放し」のプロセスを進めばいいんです。

そのプロセスのなかで、いろんな出会いがあるでしょうし、これまで目に入らなかったものも、見えてくることでしょう。

「手放す」と決めるのは、あなた自身です。

ただ、「手放し」のプロセスは、自分一人で歩かなくてだいじょうぶなんです。

今日は、手放すことは、自分で決めることができるが、そのプロセスは一人で歩かなくてもいい、というテーマにしてお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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