大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

受け取らないことで、守りたかったものは何か?という視点。

カウンセリングを受けていると、心理的な抵抗が出る場合があります。

具体例を挙げながら、そうした抵抗についての私の見方をお伝えします。

1.心理的な「抵抗」について

先日、私自身がカウンセリングを受けていたときのお話です。

カウンセリングの時間の終盤、コアな話題になったところで、まったくそのカウンセラーの方のお話を聞いていない私がいることに気づきました。

「あぁ、帰ったら、夜ご飯は何食べようかな」とか、「そういえば、あの予定の準備をしていないな」とか。

午後の授業で頬杖をついた窓際の席の生徒のように、カウンセリングの内容とまったく関係のないことを、考えているわけです笑

自己弁護するわけでもないんですが、これ、よくあることなんですよね。

自分にとって、コアな部分の話題であればあるほど、そして受け取ることが難しいお話ほど、こうした反応が出ることがあります。

私自身も、過去に講座やセミナー、カウンセリングを受けてきて、こうした経験は多々ありました。

いろんな見方ができるとは思うのですが、一つの見方として、心理的な「抵抗」が出ている、という見方があります。

いちばんメジャーなのは眠気ですが、その他にも、先の私のように他ごとを考えたり、あるいはお腹が痛くなったりも、そうかもしれません。

無意識で、自分にとって耳の痛い話を、聞かないようにしている、といいますか。

それは、「お説教される」ような類の耳の痛い話ではなく、「いままで見ないようにしてきた自分の素晴らしさ」を思い知らされる種類の、耳の痛い話です。

あるいは、「周りの人の愛情を受け取る」というお話も、その部類に入るのでしょう。

いやぁ、なかなか難しいですよね、自分の素晴らしさをそのままに受け取って、周りのたいせつな人の愛情も受け取るって…ほんとにね笑

2.「抵抗」をなくすよりも大切なこと

さて、そうした心理的な「抵抗」が出たときに、どう考えるか?というのが、今日のテーマです。

もちろん、そこまで「抵抗」が出るということは、何らかのキーストーンが含まれているのでしょう。

自分の人生にとって、どうでもいい話であれば、わざわざそんな形で「イヤイヤ!」して、シャットアウトしないでしょうから。

では、その「抵抗」をなくして、受け取ることを目指した方がいいのか?と言われると、ちょっと一呼吸置いた方がいいのでは?というのが、今日の本題です。

たとえば、「周りの人の愛を受け取る」というテーマで考えてみます。

多くの頑張り過ぎな人、そして人の心を推し量ることのできるやさしさを持っている人は、「与える」方にベクトルが向きすぎます。

いわゆる、「自立」しすぎな状態ですね。

そこでは、「周りを頼りましょう」「助けを求めましょう」「人を信頼しましょう」というテーマが重要になってくるのですが、これをしようとすると非常に抵抗が出てくるわけです。

「いや、そんなことしたら、あかん」と感じたり、それこそ助けを求めようとすると、吐き気がしたり(経験者は語る笑)

そして、人を頼れない自分を責めるという、よくないスパイラルに入ってしまったりもします(経験者は、以下略笑)

そうしたときに、「抵抗を飛び越えるチャレンジをすることが大事だ」「つべこべ言わずに、やってみる!行動が大切!」といった見方や、解決策もあるのでしょう。

もちろん、それができる人は、それをしてもいいと思います。

ただ、私の見方は少し違います。

私は、「なぜ、そんなにも抵抗してしまうのだろう?」という方に、注目したいと思うのです。

その抵抗をなくすことや、克服することが大切なのではなくて、その抵抗にこそ、その人のアイデンティティ、ひいては宝の山があるのではないか、という見方をしたいのです。

3.受けとらないことで、守りたかったものは何か?

先ほどの例で、具体的に言うならば、

「周りからの愛を、それだけ受け取らないことで、守りたかったものは、なんだろう?」

というような見方です。

そこには、その人なりの生き様、在りようが宿るからです。

もちろん、周りの人からの愛を受け取った方が、楽に生きられるようになります。

それは、間違いありません。

しかし、だからといって、「周りの人の愛も受け取らず、生きてきた」人生が、間違っているわけでも、価値がないわけでもありません。

むしろ、その逆です。

そこまで受け取らないことで、守りたかったものが、あったんですね。

そこまでして守りたいものがある人生って、素晴らしいと思います。

そういう、見方です。

もちろん、その守りたかったものや、受け取らない理由というのは、人それぞれに違うものでしょう。

けれども、そこには等しく価値があると思うのです。

もちろん、その生き方によって、苦しかったり、誤解されたり、あるいは孤独に苛まれたりも、したことがあったかもしれません。

けれども、だからといって、受け取らないで生きてきたことが、間違っているわけでも、誤りでもないと思うのです。

その生き方で、大切にしてきたものが、ある。

そして、それは恥じるものでも、消すべきものでも、なくすべきものでもない。

抵抗が、そうであるように、です。

それを、私はカウンセリングのなかで大切にしていきたいと思っています。

 

今日は、心理的な抵抗のお話と、カウンセリングのなかで私が大切にしている視点について、お伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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