今日は名古屋市内のフランス料理店、「Bistro Le Bol」(ビストロルボル)に訪れましたので、その訪問記を。
ルボルさんのホームページはこちらですね。
名古屋市は中区にあり、地下鉄もJRも通っている便利な「鶴舞」駅から徒歩7分のロケーションです。
おもてなし大好きのオーナーとマダム、そしてシェフが腕を振るう素敵なビストロです。
鶴舞駅から少し歩いた住宅街に溶け込む外観。
レストランの灯りはぼんやりと優しいですね。
アミューズですでに笑顔がこぼれそうになります。
たっぷり感のあるマスタードは、それを舐めるだけでワインが飲めるほど美味しい。
今日のシェフの前菜。
旬のホワイトアスパラとお野菜、バルサミコソース。
隠れていますが、アスパラにはパンチェッタが塩味として乗っていて、これがまたワインを誘います。
私は洋酒に関しては素人ですので全てお任せしますが、ソムリエのオーナー・ソムリエールのマダムの双方から勧められて、グラスは次々に空いていきます。
辛口の泡から入り、
ロゼ、白、白と続いて、
赤をたくさん飲みました。
そんな今日のメインは、奥美濃地鶏。
骨付きのように見えますが、関節より先は骨抜きがしてあります。
肉の脂と生クリームのみをベースとしたというソースが反則級に美味しすぎます。
そんなメインの後に、デザート代わりにチーズを頂きました。
15年くらい前に、私にチーズと蜂蜜との相性の良さを教えてくれたオーナーですが、この日はまた新しいことを教えてくれました。
チーズに日本酒が合うんです、と。
チーズには赤ワインの渋みが合うと思っていた私にとっては、それよりも日本酒の甘さとチーズのコクが合うのは衝撃でした。
当たり前だと思っていることの外側に出てみること。
いくつになっても、人生初を味わえるということ。
それは、本当に生を豊かにしてくれるものです。
そんな機会を与えてくれたルボルさんに感謝したいと思います。
さてこのルボルさん、オープンして今年で10年目になるのですが、私はオーナーとマダムとはルボルさんをオープンされる前に勤められていたレストランでご縁を頂きました。
当時は(今も?)フレンチのコース料理に慣れていない私でしたが、オーナーの絶妙なトークでの接客と、マダムのさり気ない笑顔と鉄板のおすすめワインは、料理以上に私の楽しみでした。
そんなオーナーとマダムが独立されてルボルをオープンされてからも、ときどき通わせて頂いておりました。
しかし、いつの間にか自立を深めていくうちに、どこかで自分を犠牲にして大好きなことを遠ざける状態に陥った私は、ルボルさんから足が遠のいていきました。
そのうちに予約の取れない人気店となったルボルさんを、雑誌やネットの記事で目にするたび、どこか羨ましくもあり、昔の恋人を見るような切ない感じを覚えていました。
足が遠のいて5年ほどが経って、昨日。
仕事で山梨方面に出張、直帰の予定だった私は、SNSでルボルさんが今日キャンセル出て席に空きがあるとの投稿を拝見したのです。
行きたい。
オーナーとマダムに会いたい。
あのトークが聞きたい。
そんな声を聞いた私は、しばらくぶりで罪悪感もあるけど、一人で行ってみようと思いたちます。
果たして、抵抗なのかブロックなのか、仕事は当初予定していたよりも押してしまいます。
15時24分甲府発の電車で帰る予定が、顧客のアテンドに従っているうちに、気づけば16時過ぎにまだ山梨の笛吹市でした。
ルボルさんのLOは21時。
もう無理かな・・・
でも諦めきれない私は、同行していてその後別行動になる予定の重役にブッ込みます。
「あのー、申し訳ないんですけど、新横浜周りの方が早そうなんで、八王子駅まで、送ってくれません?」
そのまま車で群馬県に行く予定だった重役は、苦笑いしながら、
「お前な、八王子なんて寄ったら、高崎着くのが1時間半は遅くなるじゃねえか。まあでも、俺はあのあたりで若い頃働いてたんだよな。久しぶりに行ってやるか」
なんという奇跡。
やっぱり言ってみるもんだ!
高速を走って17時25分に八王子駅ロータリー着。
Bダッシュで穴ぼこをやり過ごしながらみどりの窓口に走る。
長蛇の列を見て、自販機に狙いを変更してチケットを買って17時34分発の横浜線に乗る。
新横浜の人の多さに辟易しながらも18時32分発の新幹線に乗りこむ。
そして名古屋、鶴舞ときて、20時過ぎに滑り込むことが出来たのです。
久しぶりにお会いしたオーナーとマダムは、温かく珍客を迎えてくれました。
その温かさは、5年前よりもさらに優しく、また笑顔が輝いていました。
自分の声を聞く、ということ。
そして、その願いを叶えてあげる、ということ。
それは、とてもとても自分の心を満たし、
また願いを叶えてあげられる自分に自信を与えてくれる、ということ。
5年ぶりに訪れることができたルボルさんは、そんな大切なことを教えてくれました。
あの温かなオーナーとマダムの笑顔に、また会いに行こうと思います。
今度はハラハラドキドキは要らないので、落ち着いてゆっくりと伺いたいと思います・・・