大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

ロシアW杯・日本対ポーランドの「あの10分間のパス回し」の是非に、男女間のすれ違いを想う

サッカー・ロシアワールドカップの日本代表、ベルギーを相手に素晴らしい試合を見せてくれました。

世界ランク3位で優勝候補にも挙げられていた大国を破ってベスト8進出という、「世紀の番狂わせ」まで本当にあと少しのところでした。

ベスト8の壁は4年後の夢に持ち越されましたが、その戦いは観る者に勇気を与えてくれました。

そんな興奮冷めやらぬ今日ですが、決勝トーナメント1回戦に至る前の、グループリーグ最終戦で起こった「あの10分間のパス回しへの賛否から、男女間のすれ違いについてという全く関係のないと思われる話題につなげて綴ってみたいと思うのです。

 

「あの10分間のパス回し」については、こちらで詳しく綴らせて頂きました。

あの状況で西野朗監督の下した「他力に委ねる」という決断を称賛したい ~ロシアW杯・日本対ポーランドに寄せて - 大嵜 直人のブログ

グループリーグ3戦目のポーランド戦の最後の10分間で、日本は「試合に負けたまま」自陣でのパス回しに終始しして攻めに出ず、他会場の結果がそのまま終わることに賭けました。

結果として他会場のコロンビアーセネガル戦がそのままのスコア(1-0)試合終了を迎えたことで、日本のグループリーグ2位通過が決まりました。

この「最後の10分間」について、国内外のメディアやファンからいろんな声が挙がりました。
グループリーグ突破を称賛する意見がある一方で、批判的な意見も見受けられました。

「勝負しようとせず、フットボールを冒とくした」
「同点に追いつこうとせず、臆病なパス回しに終始した」
「ちゃんと攻めて気持ちよく決勝トーナメントを決めてほしかった」
「決勝トーナメントでボコボコにされるがいい」

日本国内でも同様で、「あの10分間のパス回し」に批判的な意見が見受けられました。
解説者や識者もそうですし、ファンの方の間でもそうでした。

「グループリーグ突破が大目標、苦戦が想定されるが2位以内に入って決勝トーナメントに進んでほしい」

ワールドカップが始まる前はそんな声がよく聞こえていたのに、いざグループリーグを突破してみると、

「いや、そんな他会場の結果に頼る消極的な方法で突破しても嬉しくない」

となってしまう声が挙がるという、不思議な話。

もちろん、ここで私はどの意見が正しい、間違っているということを言いたいわけではありません。

それよりもここで見られた議論の構造は、私には男女間でよく起きるすれ違いと似ているような気がするのです。

たとえばある女性が彼氏か夫にこんなことを話しかけたシチュエーション。

♀「ちょっと聞いてよ、職場の本田さん。また仕事を選り好みして、面倒なチェック作業とかの仕事のときには必ずどこかに消えちゃうのよ。自分の仕事のはずなのに。ほんとに頭にきちゃう。優しい長谷部さんが手伝ってくれたから、何とか締日は間に合ったけど、あの人の仕事でしょ?と思うと、一日イライラしちゃった。上司の香川さんも、年上の本田さんの行動には見て見ぬふりで・・・」

♂「他人は変えようとしても変わらないから、本田さんのことをどうこうしようと考えるのは無駄だよ。それよりも、上司の香川さんに仕事の割り振りを直談判するなり、自分のその怒りの感情が、本当は何にイライラしてるのかの根っこを探った方がいいよ。アンガーマネージメントっていってさ・・・」

♀(・・・なんでただ話を聞いて欲しいって言ってるだけなのに、ディスられているような気分にされられるんだろう・・・別にアンガーだろうが、フンガーだろうが、そんなこと別にどうでもいいのに・・・)

♂(・・・せっかく解決策を示してあげているのに、何で不機嫌になるんだろう・・・そんなにイライラ悩むくらいなら、何か現状を変えることをした方がよっぽど解決が速いのに・・・)

♀♂(・・・わかってくれないなぁ・・・)

ーーー二人の間に流れる不穏な空気ーーー

共感してもらいたい女性と、具体的な解決策を示したい男性。

右脳・直感・感情が優位な女性と、左脳・思考・現実に生きる男性。

その違いというのは、同じヒトでありながら全く異なる生物といえるくらい、大きな違いだと思うのです。

そして、その違いの大きさを認識しないでいると、上に挙げたような例のすれ違いがいたるところで起きるわけです。

男と女は、違う。

身体のつくりもそうですし、思考や感情、感覚など、どれをとっても違います。

その違いを認める、ということが、まず相手を理解し尊重するコミュニケーションの一歩目なのだと思います。

そもそも相手が同じだと期待するから、違うと傷ついたり悲しかったり、なまじ一緒だと感じてぬか喜びしてしまう。

それよりも、最初から違うものだと認めてしまう。

それは、理解することを諦める、ということではありません。

その違いがあればこそ、歩み寄れたり、その違いを楽しめたりもします。

それこそが、パートナーシップと呼ばれるものの醍醐味です。

そのように見ていると、先の男性も女性のすれ違いも、「同じ目的」への形を変えたアプローチなのだと気付きます。

女性にとっては、大切な人と自分の気持ちや感情を共有したいという「愛」。

男性にとっては、大切な人の悩みを解決してあげたいという「愛」。

根源にあるの、大切な人に「愛」を与えたいという「同じ目的」なのだと思うのです。

冒頭のサッカーの話題に戻りますと、「あの10分間のパス回し」で称賛も批判も含め、いろんな意見が見られました。

翻って考えるに、その根源には「戦前の低評価を覆す、いいゲームを続けている日本代表を応援したい」という「愛」によるものなのかもしれません。

それだけに、決勝トーナメント1回戦のベルギー戦での日本代表の健闘は、多くの人の魂を揺さぶるものだったのでしょう。

そんなことを、ベルギー戦の激闘が終わってしまった寂しさとともに私は感じたのでした。

 

今日もお越し頂きまして、ありがとうございました。

日本代表の健闘に寄せて、男女のすれ違いについて綴ってみました。

お楽しみいただければ、幸いです。

なお、今日挙げた例が、なぜ妙に具体的でリアリティがこもっているのか?についての質問は受け付けません。

あくまで、あくまで、ごくごく一般的な例でございますので。

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