季節の移ろいはいつも正確だ。
月の満ち欠け、昼と夜の長さ、花の咲く時期、虫の鳴き声・・・
いつも私たちにつねに変わり続けることと、変わらないことを教えてくれる。
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ある晴れた秋の日の朝の道すがら。
涼しくなった風に、小さな花が揺れていた。
白、赤、黄、紫、色とりどりの花たちに、
思わずシャッターを切った。
その翌日は、少し小雨の降る朝だった。
昨日撮った場所を通りかかると、
見事に全ての花が閉じていた。
雨だからだろうか。
気圧の差だろうか。
この小さな花でさえ、日々のわずかな違いにこれだけ大きな変化を見せてくれる。
人だって、毎日違って、揺れても、ぶれても、戸惑い、迷って、当たり前。
それが、自然なのかもしれない。
変わることと、変わらないこと。
季節の移ろいは、いつもいろんなことを教えてくれる。
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季節の移ろいに意識が向かないとき、
気づけば季節が移ってしまっているとき、
人は少し生き急いでいるのかもしれない。
月の満ち欠けを眺め、虫や鳥の声を聞き、咲く花の香りを味わっていれば、
そこに全ての答えが詰まっているし、だいたいのことは解決していく。
変わらないものなど何もないし、
変わらないものも確かに、ある。
変わったように見えても、時を重ねれば戻ってくる。
途方もなく暑かった夏はとうに彼方に過ぎゆき、
台風が去った後には置き土産のように澄んだ秋空が広がる。
季節はたえずして移ろい、そして変わらない。