大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

春の雪辱は、仁川で大輪の菊となり。 ~2022年 菊花賞 回顧

牡馬クラシック三冠の掉尾を飾る、菊花賞。

京都競馬場の改修工事により、昨年に続いて阪神競馬場での開催。

仁川の3000m、阪神大賞典と同じ舞台で、18頭がクラシック最後の一冠の栄誉をかけて争う。

 

皐月賞馬・ジオグリフは天皇賞・秋へ、ダービー馬・ドウデュースは凱旋門賞へ、そして両レースで2着だったイクイノックスも天皇賞・秋へと向かった。

春のクラシック連対馬不在の菊花賞は、なんと1957年以来、65年ぶりとのこと。

その馬の適性に合ったレース選択が主流となった昨今における、象徴的な菊花賞ともいえる。

となると、人気を集めるのは前哨戦で結果を残した馬たち。

1番人気には、GⅡセントライト記念をしぶとく制したガイアフォースと松山弘平騎手、続く2番人気にはそのセントライト記念2着も、皐月賞5着、ダービー3着と世代上位の実績を持つアスクビクターモアと田辺裕信騎手。

そして良血馬・ドゥラドーレスと横山武史騎手が続き、GⅡ神戸新聞杯を勝ったジャスティンパレスとGⅠ初勝利がかかる鮫島克駿騎手は4番人気となっていた。

さらには神戸新聞杯上位のプラダリア、ポルドグフーシュ、ヴェローナシチーといった惑星も虎視眈々。

今年で83回目を数える伝統の一戦に、18頭が挑んだ。


 

秋らしい晴天、良馬場での開催。

阪神3コーナー手前からのスタート、確たる逃げ馬不在のなか、明確に「逃げる」意志を示したのは、セイウンハーデスと幸英明騎手。

番手のポジションには田辺騎手がアスクビクターモアを導き、ガイアフォースは先行集団の内目から。

17番枠と、厳しい枠順からの発走となったジャスティンパレスだったが、ちょうど真ん中あたりにポジションを取り、そしてその後方から構える形となったのがポルドグフーシュとドゥラドーレス。

 

18頭、やや縦長の展開となって、1週目の正面スタンド前を通過していく。

軽快に逃げるセイウンハーデス。

菊花賞、晴天、先頭を走る「セイウン」の勝負服とくれば、否が応でも1998年のセイウンスカイが思い出される。

セイウンハーデスは前半1000mを59秒を切るペースで通過していく。

タフな阪神3000mを考えると、かなりハイペースか。

1コーナーから2コーナー、向こう正面に入り、ペースも緩むかと思われたが、中間の1000mのラップも1分2秒7を計測。

2000m通過の2分1秒4は、いかにも速い。

息を入れずに逃げるセイウンハーデスだったが、3コーナー付近で徐々に後続も差を詰めていく。

やがて4コーナー手前あたりで、一杯になったセイウンハーデスを、番手のアスクビクターモアがかわして先頭に立ち、直線へ。

 

長い長い距離を駆けた先で、阪神の急坂に挑む18頭。

先頭のアスクビクターモアと後続の差は、3、4馬身ほどはありそうだ。

差を詰めてきたガイアフォースは内を選択するも、伸びあぐねている。

しかし、直線半ばから、後続から抜け出した2頭、ポルドグフーシュとジャスティンパレスが迫る。

必死に右鞭を振るう田辺騎手、しかしポルドグフーシュの脚色がいい。

アスクビクターモアとポルドグフーシュ、2頭の馬体が重なったところが、ゴール板だった。

差したのか、残したのか。

どよめきの残るスタンド。

しばらく間が空いた後、掲示板の一番上にはアスクビクターモアの14番の数字が灯った。

ハナ差の2着にポルドグフーシュ、そして3着にジャスティンパレスとなった。

勝ち時計3分2秒4は、2001年にナリタトップロードが阪神大賞典でマークした時計を0秒1更新する、コースレコードとなった。


 

1着、アスクビクターモア。

春の実績馬が、見事に仁川の舞台で菊の大輪を咲かせた。

セイウンハーデスがつくった速い流れを追走し、4コーナー先頭から最後まで押し切るという強い競馬。

中間のラップが緩まなかったことでレコード決着になったが、時計勝負に対応できる持久力を備えていた。

14番枠という外目の難しい枠から、逃げたセイウンハーデスの番手のポジションを奪取した、田辺騎手の手綱も光った。

田辺騎手は、これでうれしいGⅠ3勝目。

父・ディープインパクトから、また新たなクラシックホースの誕生。

折しも、この菊花賞の前日、英2歳GⅠ・フューチュリティトロフィーをディープインパクト産駒のオーギュストロダンが制したニュースがあった。

これにより、全13世代のすべてでGⅠ馬を輩出。

その父・サンデーサイレンスは全12世代からGⅠ馬を輩出してきたが、それを更新した形となった。

あらためて、何度でも、その血の偉大さを痛感する。

翻って、アスクビクターモア。

母の父・レインボウクエストがスタミナを補完しているのか、追ってしぶとく伸びる脚は、昨年の菊花賞馬・タイトルホルダーとの対決が楽しみになる。

年末の有馬記念での対決は、あるだろうか。

個人的には、来年の新装・京都競馬場での天皇賞・春でのステイヤー対決を楽しみにしたい。

 

2着、ポルドグフーシュ。

最後の直線、猛追もハナ差届かずの2着。

交わしたようにも見えたが、写真判定の結果は無常だった。

一貫して2000m以上を使われてきたように、陣営は長い距離を意識してきたように思われるが、それだけにこのわずかな差がもたらす「あちら」と「こちら」の差の大きさを想うばかりだ。

前走から手綱を取る吉田隼人騎手は、これまでよりも若干前目のポジションを取り、絶妙なタイミングで進出し、あと一歩まで迫った。

レースが上手ではないタイプだが、溜めて伸びる末脚は、今後の中長距離戦線をにぎわせてくれるのに違いない。

 

3着、ジャスティンパレス。

神戸新聞杯での好走そのままに、力を見せてくれた。

ただ、外枠かつ奇数枠という、厳しい枠の差もあったように思う。

しかし、それを感じさせないような、鮫島騎手のエスコートだった。

胸を張っての3着と言えるのではないか。

何度もGⅠで好騎乗を見せてくれる鮫島騎手、その手綱はGⅠを制するにふさわしいと感じる。

これからの大舞台での手綱にも、大いに期待したい。


 

春の雪辱は、仁川で大輪の菊となり咲き誇る。

2022年菊花賞、アスクビクターモアが制す。

 

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