「許し」とよく似たものに、「手放し」があります。
その共通点について、見ていきます。
1.「許し」について
ここのところ、「許し」についてのテーマを続けておりました。
「許し」へのステップ9 ~プロセスを楽しむ、ということ - 大嵜直人のブログ
昨日までで、9つの記事を続けてきたようです。
結構、続きましたね笑
それくらい、「許し」はカウンセリングの中でも重要になるテーマですが、とりあえず一区切りにしたいと思います。
なので、とりあえずこれまでのまとめを。
「許し」とは、誰かに与えたり施したりするものではなく、「自分が」よりよく生きるためにするものです。
具体的には、相手やできごとを100%主体的に受け入れるのが、「許し」です。
そうすることによって、相手を責めることの罪悪感から、自分を解放するという大きな恩恵を受けとることができます。
これが、大きいんですよね。
誰かを恨んでいるとき、誰かに怒っているとき、私たちはその相手のことばかりを気にして、自分の人生を生きることができません。
「許し」は、そうした鎖から自分自身を解き放ってくれるものです。
その「許し」にいたるのには、大きく分けて4つのプロセスがあります。
- 感情の解放
- 感情的理解
- 感謝
- 恩恵を受けとる
まず溜まっている感情を解放することで、自分の心に余裕をつくります。
それによって、「もし私が同じ立場や状況だったら、同じことをしたかもしれない」という、感情的理解に至ることができます。
そうすると、相手に感謝できるようにもなりますし、そのプロセスのなかで、恩恵を受けとることができるのです。
ただ、こうしたプロセスは、時間がかかるものです。
進んでは戻り、また進み。
「許し」のプロセスは、私たちが生きている限り、続くのでしょう。
だから、そのプロセス自体を「楽しむ」という感覚が大切とお伝えしました。
2.「手放し」との共通点
さて、この「許し」と非常によく似ているものに、「手放し」があります。
こちらも、カウンセリングでは重要なテーマになることが多いものです。
たとえば、「別れた恋人が忘れられなくて、しんどい」といった状態から、自分を解き放つのが「手放し」です。
端的にいえば、執着から自分を解放するのが「手放し」です。
「許し」と似ているのが、この点です。
誰かを許せていないとき、私たちはその人に執着しているといえます。
「彼女が謝ってくれないから」
「父親に言われた言葉で、傷ついている」
…そうした許せてない状態のとき、彼女や父親に執着していると見ることができますよね。
それ以外は、全然視界に入らない、というか。
その状態から、自分を解放しようとするとき、それを「許し」と見るのか、「手放し」と見るか、その違いくらいなのでしょう。
「許し」と見るならば、そのカギになるのは「感情的理解」です。
「もし自分だったら、同じことを言ってたかもな」、という理解の仕方です。
一方で「手放し」と見るならば、カギになるのは「自由」です。
ギュっと握りしめている手を開いて、自分と相手に「自由」を与えること。
「自由」であるとは、選択肢があることです。
手を差し出してもいいし、そこから離れてもいい。
その「自由」を、自分と相手の両方に与えるのが、「手放し」のイメージです。
3.純粋に相手の幸せを祈れるか
「許し」シリーズのなかで、「許し」の最後は忘却である、と書きました。
「許し」が進むほどに、その相手やできごとを忘れている時間が増えるというか、気にならなくなります。
許せなくてムカムカする、イライラする時間が減って、スッキリした時間が増えます。
心地よい秋の風のように、清々しい時間が増えます。
それによって、自分の人生に目を向けることができるものです。
一方、「手放し」が進むと、その相手の幸せを静かに祈ることができるようになります。
この、相手の幸せを祈れるというのが、「手放せている」サインなんですよね。
執着しているとき、自分の思い通りにならないと、苦しみを感じます。
あの人が一緒にいてくれないと、とか。
母親が変わってくれないと、とか。
しかし、そうした執着を手放していくことができると、そうしたコントロール欲が薄くなっていくんですよね。
そうなっていくと、自分がどんどん自由になりますし、相手にもまた自由を与えることができるんです。
それが進むと、相手の幸せを祈ることもできるようになるのです。
「手放し」とは、自分も相手も自由にするもの。
その先には、相手の幸せを祈ることができるもの。
「手放し」のイメージを、具体的に持っていただけましたら、幸いです。
今日は、「許し」と「手放し」の共通点について、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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