大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「復讐」を、自分を許すためのプロセスの一部としてとらえてみる。

「復讐」とは、自分が幸せにならないことで、誰かに仕返しをすることです。

それは、主導権争いに敗れた相手に対して仕掛ける、情緒的な脅迫ともいえます。

それをいけないこと、として見るのではなく、自分を許すためのプロセスの一部として見ることをおすすめします。

名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。

1.傷つくのは復讐の行為

傷つくことは、けんかに負けるという体験です。

私たちは、「自分が傷つけられた」ことを利用して、情緒的な脅迫のかたちで相手の人に負けたことの仕返しをしようとします。

 

私たちの復讐の仕方は、相手のすぐそばで胸から血を流しながらこう言うのです。

「この人は私をこんな目にあわせた。だから、ひどい人だ。この人がどれだけくさった人間であるか、その記念碑として、私は永遠にこの人の戸口に立ちつづけるのだ」

 

「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.151

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2.「復讐」の心理について

今日のテーマは、「復讐」でしょうか。

以前にも一度、触れたことがあるテーマですが、また別の角度からお伝えできれば、と思います。

主導権争いの末路

他人との関係性において、私たちはよく主導権争いをします。

これは、「私の方が正しい」「あなたが従うべきだ」という主張で、手を変え形を変えて、相手と争うことを指します。

これまで見てきたように、自立的な人ほど、そうした「正しさ」にこだわる傾向があります。

正しい/間違っている、という判断が入るのですから、そこには自分の価値観やルール、観念といったものが、多分に作用します。

いわば、自分のルールが正しいという主張を、ずっと続けるわけです。

その主張がずっと通ればいいのですが、残念ながらそうはいかないのは、皆さんご承知の通りだと思います。

その主張を聞いてくれない相手、あるいは思い通りに動いてくれない相手。

そうした相手に、私たちはよく出くわします。

自分の主張が通らなくて、退けられたとき、私たちは「傷ついた」と感じます

あんなに一生懸命、尽くしてあげたのに。
これだけ、あなたのためにやってきたのに。
私の方が、絶対に正しいはずなのに。

そうした主導権争いに敗れたやるせなさ、無念さ、あるいは自分の無力感を、私たちは「傷ついた」「傷つけられた」と感じるようです。

「復讐」とは、情緒的な脅迫

さて、そうして「傷つけられた」と感じたとき。

私たちはその「傷つけられた」ことを利用して、さらに主導権争いを挑みます。

「こんなにも傷ついているんだよ」

そんなぼろぼろになった姿を見せて、相手をコントロールしようとします。

手当をさせようとしたり、気にかけさせようとしたり、振り向かせようとしたり…

実に、さまざまな方法で、私たちは「傷ついた」ことを見せつけ、相手をコントロールしようとします。

それは、主導権争いの延長戦と言えます。

引用文にある通り、「復讐」とは、まさに情緒的な脅迫であるようです。

この一文なんか、ほんと、見事ですよね…

「この人は私をこんな目にあわせた。だから、ひどい人だ。この人がどれだけくさった人間であるか、その記念碑として、私は永遠にこの人の戸口に立ちつづけるのだ」

いやぁ、半分笑いながらも、思い当たる節がありありと浮かんで、胸がチクチクとするのですが…

誰でも、やってしまいますよね、これ。

「こんなに傷ついたのは、あなたのせいだ!」

そう、叫びたくなるもんです。いや、ほんと笑

3.「復讐」を、自分を許すプロセスの一部として見る

もし、あなたが幸せでないならば

「もし、あなたが幸せでないならば、あなたは誰かを許していない」

そんな格言が、心理学にはあります。

どんな小さなことであれ、幸せでないと感じるならば。

それは、誰かを許していない。

そんなことを、教えてくれます。

ここで、「許せていないから、ダメだ」、なんて考えないでくださいね。

心理学を、自分責めに使わないこと。

それは、ここで何度もお伝えしてきたことです。

そうではなくて、幸せになるカギは、自分が握っている、と考えてみてほしいのです。

たとえいま、幸せを感じられなかったとしても。

「その誰かを許すことができれば、幸せを感じられるようになる」、という希望として、聞いてみてほしいのです。

「傷つけられた」と感じることが、たとえあったとしても。

私たちは、それに対して「復讐」することではなく、「許す」ことを選ぶことができます。

そうしていった先に、最終的には、自分を許すことになるのでしょう。

あなたを傷つけられるのは、あなたしかいない

最も硬い鉱物である、ダイヤモンド。

そのダイヤモンドをカットするのには、同じダイヤモンドの粉末を使うそうです。

そのダイヤモンドを傷つけることができるのは、同じダイヤモンドでしかない、と。

とてもひどいことによって、あなたは「傷つけられた」と感じているかもしれません。

しかし、あなたを傷つけることができるのは、あなたしかいません光

これは、先ほど書いた「許し」でも同じです。

 

最も偉大なヒーリングの一つである、「許し」。

その最初は、特定の誰かを許すことから始まります。

その誰かを許せると、その後ろに、また別の許せない人が見えてきます。

そうした「許し」のマトリョーショカを続けていった先には、「自分自身」がいます。

この世で最も許すことが難しく、最も許しがたい存在、自分。

その自分を許すことは、大きな大きな恩恵を与えてくれます。

主導権争いに敗れ、傷つくことは、非常に辛い体験です。

しかし、その「傷つけられた」と感じることは、自分を癒し、許していく大きなプロセスの一部だと見ることも、できるのでしょう。

 

いま、あなたは幸せでしょうか。

全開で「YES!」と答えられないならば、誰を許していないでしょうか。

誰に、「復讐」しているのでしょうか。

もし、その「復讐」に気づいたら。

そのことで自分を責めるのは、やめましょう。

その人を、そしてあなた自身を、許しましょう。

もちろん、いますぐに、ではなくて大丈夫です。

少しずつ、ゆっくりとで大丈夫です。

けれど、その方向に意識が向けば、必ずできますから。

大丈夫です。

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