大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「疲れきっているのは、「役割」を演じているから」

人は誰しも、「役割」を演じて生きています。

それ自体は悪いものでもありませんが、時に役割は人を疲弊させます。

もし役割に疲れを感じるのであれば、自分が選択することを思い出すこと、そしてその役割を演じる理由を考えみてはいかがでしょうか。

名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。

1.疲れきっているのは、「役割」を演じているから

よく疲れきって、燃えつきてしまいそうになることがあります。

そんなふうにぼろぼろになってしまうのは、「自分はこうするべきだ」という観念にしたがって行動しているからにほかなりません。

 

「役割」「規則」「義務」などから行動するとき、私たちは不必要な行動をとったり、自分の感情を無視したり、あるいは楽しみを受けとらないようにしてしまいます。

それは「正しい」ことを「まちがった」理由で行っていることになります。

つまり自分からの選択ではなく、ただ習慣だから行動しているのです。

選択はエネルギーを与えてくれます。

自分が「そうするべき」だから行動するのでなく、自分がその行動をすることを「選択」すれば、役割はエネルギーに転換します。

 

自分が疲れはてている感じがするときは、小さな目標設定をしてみてください。

小さな目標を達成するたびに、どんどんエネルギーがよみがえってくるでしょう。

 

「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.43

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2.「役割」が、人を疲弊させる

正しいことを、間違った理由で行っている

今日のテーマは、割とすんなり入ってくるテーマではないでしょうか。

人は誰しも、「役割」を演じて生きています。

母親、部下、夫、息子、パートナー…などといった社会的・世間的な役割から、やさしい人、真面目な人、気遣いのできる人、といったイメージもまた、役割なのかもしれません。

そうした役割は、時に人を疲弊させます。

役割を演じるために、必要以上に無理をしたり、頑張り過ぎたり、あるいは、本当はやりたくないことをやったり。

はい、誰にでも思い当たる節が、あるあるなのではないでしょうか。

もちろん、そうした役割を演じる中でする行動自体は、素晴らしいものです。

しかし、それをすることでヘトヘトになってしまうのであれば、引用した言葉の通り、「正しいことを、間違った理由でしている」からなのかもしれません。

行いや行動は素晴らしいものなのでも、「そうするべきだから」「そうしなくてはいけないから」といった理由から行動していると、やはり疲れ果ててしまうものです。

そんなときは、「自分が選んでいる」という意識を持つことで、その状態から抜け出すことができるようです。

おい、仕事なんていいからコーヒー行くぞ。

今日のテーマを考える中で、私が以前にお世話になった方を思い出しました。

前職でご縁のあったオーナー社長で、当時還暦を過ぎていたでしょうか。

口が悪くて、いつも文句ばかり言っていたけれど、大らかで求心力があり、よく呑み、よく笑う方でした。

当時の私は、大容量の寂しさを押し殺して、ハードワークに勤しんでおりましたが、そんな私を目にかけてくださいました。

「おい、仕事できねえくせして、なに忙しいふりしてんだ。

 そんなこといいから、コーヒー行くぞ」

そんなことを言って、忙しさにいっぱいいっぱいになっていた私を、サボさせようとするのです笑

その社長と喫茶店に入ると、「そんな服着てると、仕事になっちまうだろ。脱いじまえよ」と言って、私の制服を脱がせるのです。

そこで、とりとめもない話をされました。

どこどこで買った帽子がよかっただの、何だのと。

振り返ると、それは役割を演じなくてもいい時間だったのかもしれません。

仕事の上での役割、家族の上での役割、誰かとの関係の上での役割・・・そういったものを脱いで、ただぼんやりとくつろいでいる時間。

私にとってもそうでしたし、社長にとっても、そうだったのかもしれません。

数年前に亡くなってしまったので、今となっては聞くこともできませんが。

それでも、その喫茶店から戻ると、それまでヘドロのように疲れ果てていたはずなのに、「さて、もう少し頑張るか」と思えたのは、不思議なものです。

その社長との時間があったことで、役割を「選び直した」ともいえるかもしれません。

ただ、くつろいで話すこと。

それが、どれくらい役割でヘトヘトだった私の救いだったのか、いま振り返ってみてもありがたいものです。

3.カウンセリングは、役割を降ろせる場

役割を降ろして、ただ、くつろいでお話しすること。

私のカウンセリングでも、まずはそうしたお時間を提供できるように心がけています。

それは、役割を降ろすことのできる場ともいえます。

仕事、家庭、友人、コミュニティ・・・人は、いろんな関係性の中で、役割を演じて生きています。

冒頭にお書きした通り、その役割自体はいいものでも、悪いものでもありません。

現在、ご提供している私のカウンセリングの中では、

・そうした役割をなぜ演じるようになったのかを一緒に考え、

・その役割を演じてきたことが、どれだけ素晴らしいことなのか

をお伝えするようにしています。

役割を演じることが悪いことではなく、その多くは大切な人を想って、演じるようになったものです。

そして、その役割を演じていたことで、救われた人もたくさんいらっしゃったのではないでしょうか。

私のカウンセリングの中では、常々それをお伝えしたいと思っています。

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