同じような問題にぶつかってしまったとき。
あるいは、自分が何も成長していないと感じるとき。
そんなときに重要な視点をお伝えします。
1.依存、自立、相互依存の成長モデル
依存、自立、相互依存
何度もここでご紹介している、人の心の成長モデルとして、「依存・自立・相互依存」というモデルがあります。
まずは、「依存」からはじまります。
生まれ落ちたばかりの赤ちゃん。ピカピカの1年生。初めての恋愛。新入社員。
自分ができることが少なく、周りの人に与えてもらうばかり、という状態です。
周りからの愛を受けとるステージともいえますが、なかなか自分の欲求を叶えてもらえなかったり、といったことに傷ついたりもします。
そうしたことが重なると、「もういい!自分でやる!」とばかりに、なんでも自分でやろうとします。
これが、「自立」のステージです。
自分でできることが飛躍的に増えるという恩恵がある反面、孤独感を抱えやすくなったり、頑張り過ぎてしまったりといった弊害が生まれてきます。
そして、「依存」時代に叶えてもらえなかった欲求が見え隠れしてしんどくなったり、あるいはそれでもその欲求を抑圧しようとすると、無気力、無感動な状態になってしまったりもします。
カウンセリングで扱う問題の多くは、この「自立」の状態のときに起こるものともいえます。
そうした「自立」の先に、「相互依存」というステージがあります。
自分のことは自分でする、自分にできないことは誰かに頼る、というステージです。
Win-Winの関係と称されるように、自分の相手も、お互いにとって豊かなステージであり、状態であるといえるのでしょう。
成長は一直線ではない
このように書くと、まるで人の成長が一直線のように見えますが、決してそうでもありません。
時に戻ることもあり、時に立ち止まることもあり、そんな中で成長していくものです。
そして、「相互依存」に至ればゴール、というわけでもありません。
仕事に慣れたとしても、違う部署に異動すると、また「依存」の状態になったり、そんなイメージです。
たとえるなら、人の成長は螺旋階段を登るようなものといえます。
ぐるりと一周して、また同じ場所に戻ってくる。
また、「依存」的になっている自分に出会う。
何度も何度も、それは繰り返されるものです。
けれども、螺旋階段であれば、同じ場所のように見えて、視線の高さは違います。
同じ「依存」のように見えても、それは以前とは違うステージなんですよね。
以前に学んだことや、経験を活かせるわけです。
だから、同じような問題に出くわしたとしても、「自分は成長していない」と思うのは早計なんです。
もしかしたら、一回りして、また新しいステージに来たのかもしれないのですから。
2.円環を描く神話の世界
螺旋階段のような、人の成長。
それを考えるとき、ジョゼフ・キャンベルの「英雄の旅」が参考になります。
アメリカの比較神話学者だったキャンベルは、世界各地の民族の持つ「神話」に共通したモデルがあることを指摘しました。
それが、「英雄の旅」と呼ばれるモデルです。
旅立ち、メンターや仲間との出会い、強大な敵、主人公の変容、課題の解決、そして宝や霊薬を持って帰還する。
こうした「英雄の旅」のモデルは、有名なところだと映画「スターウォーズ」の脚本の参考にされたりしています。
多くのゲームにも見られる、冒険のモデルです。
ここで強調したいのは、最後の「帰還」は、また新たな旅立ちへとつながっている、ということです。
財宝や霊薬を持って帰って、終わりではありません。
そこでまた、新しい旅路が始まるわけです。
一つの場所に、とどまらないということ。
それが、人が生きることとも言えるのでしょう。
3.戻ってきたように見えても、見える風景は違うはず
同じような問題に、またぶつかってしまったとき。
自分が何も変わっていないように感じたとしても、それは真実ではありません。
螺旋階段を登って、同じ場所にやってきただけなのかもしれません。
そこで見える風景は、以前とはどこか違うはずです。
「何も変わっていない…」と思ってしまうと、それは見つからないものです。
コツは、「どこが変わったのだろう?」という視線で見てみることです。
「変わっている」「変わった部分がある」という前提で、見てみるわけです。
これは、いろんな場面で使える、とても重要な視点です。
「ある」という前提で見る。
何かが変わっている、という前提で見る。
以前の自分と違うところ、成長したところを見つけて、そこを認めること。
それは、自分を愛することにつながる、とても大切な視点です。
ほんの小さなところで、いいんです。
もし、同じような問題にぶつかってしまったり、あるいは自分が成長していない、と感じたりするとき。
そんな視点を持ってみては、いかがでしょうか。
今日は、人の成長は螺旋階段を登るようなものというテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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