大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

自立するほど孤独になるけれども、それは真のつながりへの通過儀礼。

昨日の「頑張りすぎ」と関連するテーマです。

私たちは、自立していく過程で、どうしても孤独になります。

だから自立しすぎるのが悪いわけではなく、その孤独はつながりへの通過儀礼ともいえます。

依存から自立へと駆り立てるのは「心の痛み」

私たちの心の成長プロセスは、「依存」から「自立」、そして「相互依存」へとステージを変えていきます。

このブログでも、何度もお伝えしてきたモデルですね。

「依存」とは、生まれたばかりの赤ちゃん、あるいは仔猫のようなイメージといえます。

自分には何もできないので、何でも周りにやってもらう、世話をしてもらう、という状態です。

赤ちゃんや仔猫をイメージしてもらえるとわかる通り、この「依存」のステージにおいては無邪気さ、素直さ、可愛らしさといった魅力があります。

この状態においては、主導権は自分の外側にあります。

それゆえ、自分の思い通りにいかないことが多いものです。

お腹がすいても、自分でご飯を準備することもできず、あるいは眠くなっても、自分ではうまく眠ることができなかったり。

抱っこしてほしいと感じても、そのタイミングで抱っこをしてもらえなかったり、

これは、赤ちゃんに限らず、新入社員、恋愛の惚れた側は同じような感情を抱きます。

そうした「心の痛み」を強く抱くと、自分でなんとかしようとします。

何とか自分のことを自分でできるようになろうと、がんばろうとするわけです。

こうして、私たちは「依存」から「自立」へと成長していきます。

しかし、その裏側にあるのは、「依存」時代に満たされなかった、何らかの「心の傷」といえます。

何でも自分でやろうとする自立の罠

さて、そうした「自立」をしていくと、できることはどんどん増えてきます。

これが、「自立」の素晴らしいところです。

「自立」するがゆえに、私たちはできることを増やして、成長していくことができるわけです。

よくこのブログで「自立」の問題を扱うことがありますが、物事には光の面と影の面があります。

「自立」するがゆえに、私たちは自分でできることを増やしていくことができます。

しかし、同時に影の面も「自立」にはあります。

それは、お察しの通り、何でも自分でやろうとするがゆえに、孤独感を強く抱くようになる、ということです。

何でも自分でやろうしていく分、周りとのつながりが切れやすくなります。

「一人で抱え込み過ぎる」という事象が起きやすくなります。

「自立」のステージにいると、そこでできることは「もっと頑張る」以外の選択肢が選びづらくなります。

そして「もっと頑張る」を重ねていくと、もっと孤独になっていく…というスパイラルに入ってしまうこともあります。

はい、私も思い当たる節がありありのスパイラルです笑

その孤独は、祝福されるべきもの

そうした「自立」のステージで感じる、孤独。

その処方箋は、やはり「人を頼る」「お願いする」「任せる」「委ねる」ということが、鍵になります。

はい、「自立」にいる人がとても苦手な選択肢の数々です笑

けれども、「自立」の先にある「相互依存」は、「自分でできることは自分でする、自分でできないことは人に頼る」というステージです。

そこでは、「自立」と違い、周りの人とのつながりや、喜びを感じることができます。

しかし、その「相互依存」は、必ず「自立」を通らなくてはならない、というのが今日のテーマです。

「誰かに任せるわー」という「依存」のステージから、いきなりつながりを感じられる「相互依存」に至ることはできません。

「自立」での孤独感はしんどいですし、誰もが嫌なものですが、しかしそれを「相互依存」にいたる祝福として考えることもできる、というのが今日のテーマです。

言い換えると、「自立」で感じる孤独感は、真のつながりへの通過儀礼のようなものかもしれません。

「自立」の問題に気づいた人によくあるのが、「また、私は人を頼れない、自立しすぎ…」と自分を責めてしまう心理です。

これは、心理学を学ぶなかで、陥りやすい罠といえるかもしれません。

そうじゃないんですよね。

逆なんです。

「よく、そこまで自立できましたね」

「ここまで、一人でよくがんばってきましたよね」

「自立」しすぎたと気づいたとしても、そのような声を、自分にかけてあげてほしいな、と思うのです。

だって、「依存」から「自立」にいたるのは「心の痛み」なわけです。

その痛みを抱えて、がんばってきたのに、「自立しすぎ」と言われてしまったら、あまりに哀しいじゃないですか。

だから、「自立」して孤独を感じることは、決して悪いことでも何でもありません。

よくそこまで、がんばってきたよね。

そうやって、ご自身をねぎらってもらえると、何よりです。

そして、その先に新しいつながりを感じられるステージが、きっと訪れると思うのです。

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