何かを「手放す」ときに必要なのは、「決める」ことです。
手放すと決めることで、自分自身に意識を向けることができるようになります。
それは、自分を大切に扱うことといえます。
1.執着を「手放す」ということ
先日から、「手放し」についてのテーマを続けております。
何かに執着してしまうことは、苦しいものです。
執着しているとき、私たちはその対象に近づきすぎていて、それ以外のことが見えなくなってしまいます。
他のことが見えなくて、選択肢がない状態。
それが、執着している状態です。
「手放し」とは、そうした状態から、文字通り「手を放す」心のはたらきを指します。
ぎゅーっと握りしめているその手を、そっと開くような、そんなイメージです。
「手放し」は、諦めることでも、自暴自棄になることでも、自分から去ることでもありません。
それは、愛を持って距離を空ける行為であり、それゆえに自分と、そして相手に自由を与えてくれます。
そのうえで、もう一度その相手やできごとを選ぶのか、それとも別の道を歩くのか。
その選択権は、自分自身にあります。
それは同時に、相手にもあります。
よくパートナーシップで再構築をする場合、「お互いがお互いを選び直す」という表現をすることがありますよね。
これもまた、「手放し」の先にある恩恵です。
注意したいのは、こうした「結果」を期待したり求めたりして、距離を空けることは、「手放し」ではない、ということです。
どうしてもこういう話を聞くと、「じゃあ、『手放し』をしたら、自分の望む結果になるってことなんだね!」と期待してしまいますが、そうではないでんすよね。
私も、さんざん思い当たる節がありありですが笑
「手放し」とは、なにがしかの結果を期待することではありません。
それは、自分が主体的に、自由に生きるためにすることです。
2.「手放し」のために必要なこと
さて、こうした「手放し」ですが、今日は「どうやったら手放せるのか?」というテーマで、少し考えてみたいと思います。
「手放し」のために必要なこと。
それは、「執着を手放す」と、まず自分の心のなかで決めることです。
この「自分の」というところがポイントです。
執着しているとき、私たちの心はその対象に向いています。
たとえば、別れた恋人に執着していると、その人がいま何を考えているのか、何をしているのか、気になって仕方がないものです。
そして、どうしたら再び自分に振り向いてくれるのだろうか。
そんなことばかり考えてしまったりもするでしょう。
もちろん、そうやって執着するだけ、大切な存在であったのでしょうし、それが悪いことでも何でもありません。
執着が深い分だけ、愛してきた証拠と見ることもできるでしょう。
しかし、そうした状態にいると、どうしても自分の思考のベクトルは相手に向いているものです。
そのとき、自分自身への視線というのは、置き去りにされてしまいます。
自分が何を感じているのか。
どう感じているのか。
そうしたことを無視して、相手のことばかり考えてしまうわけです。
けれども、考えても考えても、相手のことは相手にしか分かりません。
だからこそ、執着するのは辛いのですが。
上に書いた「決める」ということは、そのベクトルの向く先を自分自身に向ける、ということです。
3.自分の心の声を聞くこと
「手放す」と決める、ということ。
それは、執着の対象ばかりに向いていた意識を、自分自身に戻してみることです。
そしてそれは、自分を大切に扱うことに他なりません。
自分の感じていることを、見つめてみること。
自分の心の声を聞く、ということ。
それは、非常に怖いものです。
むしろ、それに触れることが怖いがゆえに、相手のことばかりに意識を向けていることだって、あるのでしょう。
それでも、自分を最も身近で、最も大切に扱ってあげられるのは、自分自身しかいません。
どんな感情であっても、感じれば通り過ぎていきます。
一つの感情を感じきるごとに、手放しは進んでいきます。
「手放す」と決めることは、そのようにして自分と向き合うことを、後押ししてくれます。
それは、自分を最大限に大切に扱うことといえます。
今日は、「手放し」のために必要なことは「決める」ことであり、それは自分を大切に扱うことに他ならない、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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