大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

桜花慕情。

風が、強かった。

玄関の前に、花びらが数枚落ちていた。

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近くの川沿いから、ここまで飛んできたと思うと、どこかはかなく、どこか切ない。

その花びらに誘われて、今日も川沿いを歩く。

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やはり空の色が、四月に入って変わったように思う。

ぼやけたような、滲んだような三月の空から、どこかで芯の入った、その青色。

今年の桜は、ことさらに美しく感じる。

今年も変わらずそこに「在る」ことで、どれだけ多くの人を癒しているか。

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それなのに、一つ一つの花は、どこか控えめで。

不思議とどの花も、うつむき加減だ。

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見上げれば、無数の淡いピンク。

透き通ってきた、空の色。

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足元を見れば、今日の強い風に散ったのか、すでに多くの花びらが。

地の花びらは、どこか頭上のそれよりも、濃い色をしているように思えた。