風が、強かった。
玄関の前に、花びらが数枚落ちていた。
近くの川沿いから、ここまで飛んできたと思うと、どこかはかなく、どこか切ない。
その花びらに誘われて、今日も川沿いを歩く。
やはり空の色が、四月に入って変わったように思う。
ぼやけたような、滲んだような三月の空から、どこかで芯の入った、その青色。
今年の桜は、ことさらに美しく感じる。
今年も変わらずそこに「在る」ことで、どれだけ多くの人を癒しているか。
それなのに、一つ一つの花は、どこか控えめで。
不思議とどの花も、うつむき加減だ。
見上げれば、無数の淡いピンク。
透き通ってきた、空の色。
足元を見れば、今日の強い風に散ったのか、すでに多くの花びらが。
地の花びらは、どこか頭上のそれよりも、濃い色をしているように思えた。