長月、9月。
徐々に秋の装いが見られるようになるころ、また熱田さんを訪れることができました。
前回訪れたのが、8月のはじめ。
うだるような暑さの境内を覚えていますが、この日は車から降りると、少し秋の風を感じることができました。
空の色もまた、透明感が少し増したように感じます。
それにしても、ひと月でずいぶんと季節は流れていくものです。
9月の上旬。
参拝客はそれほど多くなく、静かな時間が境内には流れていました。
賑わいのある境内もいいのですが、やはり静かに参道を歩く時間というのは、何ものにも代え難いものです。
玉砂利の音、風に木々の葉が触れ合う音、鳥や蝉の声。
音はあるのですが、静か。
そんな不思議な感覚に包まれるようです。
そういえば、蝉の声がツクツクボウシの声になっていました。
あの特徴的な、それでいて夏の終わりを惜しむような声。
久しぶりに聞いたような気がします。
子どものころ、蝉取りに明け暮れていたときは、なかなかこのツクツクボウシが捕まえられずに苦労したことを思い出します。
過ぎ行く夏は寂しいものですが、それでもこのツクツクボウシの声を聞くと、納得させられるというか、しょうがないよね、といった感じを受けるのです。
本殿を正面に眺めながら。
この長月もまた、ここに来られたことに感謝を。
また来られることを願って、長月もまたこの参道を歩くように、過ごしていきたいと思います。