大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

痛みと色彩。

灰色の世界、という表現がある。

こころが曇ったとき、
痛みとともにあるとき、
あるいは袋小路のようなこころの迷路に入ってしまったとき。
そんなとき、目に映る世界を表現した言葉だ。

目の前に広がっている澄んだ空が、まるでそこには存在しない。
ときが満ちて咲く花も、その人の世界にはいない。

灰色の世界とはよく言ったものだが、強いて言うならば、灰色という色自体も、存在しない世界、なのかもしれない。

痛みは、色彩と遠いところにあるようだ。

色彩、あるいは色は、不思議だ。

それはただ単に、物体に当たった光の反射に過ぎない。
その物体が、どの色を吸収し、どの色を反射するのかという、分光反射率とやらによって、私たちが見ている色は決まる。

それなのに、なぜ、灰色の世界があるのだろう。

暖色、寒色という表現があるように、色には温度が、体温がある。

痛みがあるときは、それを感じられなくなる時なのだろうか。

もし、そうだとしたら。

丁寧に世界の色を観ることは、ある種の痛みを癒すのだろう。

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